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嫁から虐げられる「バス停姑」 「誰か助けて」と訴える

なぜかいつも温泉に来ている高齢女性。一体なぜ毎日温泉に来ているのか? そのあまりにも辛い事情を手紙にしたためて本誌編集部に送ってきたので、インタビューをした。(女性セブン1988年3月3日号より)

* * *
――お手紙では、おばあちゃんは毎日、この温泉にこられているとか……。

はい、毎日温泉にきてるといえば聞こえはいいですけど、ほかにどこも行くところがないからここにくるんです。

朝7時に息子が出勤するのですが、それと同時に、嫁に追い立てられるように家を出て……。

神奈川県に住む峰ヤスヨさん(79才・仮名)。本誌への投稿によると、高血圧の治療をかねて福祉施設の無料の温泉にかよっている。長男(50才)と嫁(43才)の3人暮らし。長男夫婦に子供はいない。ご主人とは20年ほど前に死別している。

この温泉は年寄りのたまり場なのですが、私ほど嫁からむごい扱いをされている人はいやしません。

温泉は10時からなんです。家から温泉まで30分もあれば着いてしまうので、いつも駅の待合室で時間待ちしています。パン1個食べながらね。

温泉は午後4時で閉園になりますので、また、近くのスーパーでお弁当を買うんです。ついでに店内を歩きまわってヒマをつぶすのですが、なにも買わないものだから、万引きにまちがわれることもあります。

――すると、夜もひとりで食事されるんですか?

そうなんです。バスの停留所の薄暗い電灯の光で、ベンチに腰かけてお弁当を食べるのです。毎日のことながら、その寂しさ悲しさといったら……、流れる涙でお弁当をぬらしてしまいます。

停留所でお弁当を食べていると、通りがかりの人にはヘンな目で見られます。まるで自分がバス停になったような気がするのです。

わけを知ってる近所の人は、あわれみの目で私を見ている感じです。ぶらぶらやってくるノラ犬に魚の一切れをやるとシッポ振って喜ぶのですが、それだけがなぐさめですね。

嫁が、家にきたとき、「お姑さんはお年寄りだし、いろいろと好みもちがうでしょうから、食事は別々にしましょうね」

といったのが始まりでした。最初は、自分の食べる分は自分でつくれということなのかと思って、ひとり分の野菜の煮ものなどをつくって食べていました。そのたびに、「じゃがいもや大根の減り方が早いけど泥棒でもはいったのかしら」と、聞こえよがしにいうのです。

それで、材料も私の年金で買うようにしたんですが、今度は、「ああ汚い。台所をこんなに汚して……。年寄りはこれだから困るわ」

こうあてつけがましくいわれると、だんだん家でつくるのが面倒になって、外でお弁当を食べるようになってしまったのです。

私もホトホト疲れました。「バス停姑だ」なんて近所の人にいわれるし、私も、なんだか全身がバス停のベンチに貼りついてしまうみたいなんです。どなたか助けてくださいよ。

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