国内

櫻井よしこ氏「原発視察の菅首相は自分が目立つことのみ考慮」

 3月11日から2か月。お茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦氏とジャーナリストの櫻井よしこ氏が国家再生に欠かせない日本人の「覚悟」と「誇り」を論じ合った。

 * * *
櫻井:この大災害を、日本国が戦後、豊かさの代償として忘れてきたものを思い出し、日本再生のチャンスにしなければならないと思っている人は多いと思います。そうしなければ亡くなった方々に申し訳ないと感じますし、今日本人が見せている素晴らしい心も生かされなくなってしまう。

藤原:日本にいる限り、大地震や大噴火、津波、台風などの災害があるのは仕方がありません。この苛酷な自然のなかから、やさしさとか惻隠、もののあはれといった日本人の情緒が生まれてきました。重要なのは、大災害の後どう立ち直るか。いかに二次、三次の被害を食い止めるかです。

櫻井:まったく同感です。原発事故は二次被害ですが、政府はそのコントロールに四苦八苦して、第三次被害を食い止めるべき復興の対策は何も打てていない。その原因はこの国のリーダーシップが確立されていない、危機管理ができていないということにあります。国家がなきに等しき状況です。

藤原:真のエリートの最も重要な要件を全部満たしていませんね。歴史や思想、文学、芸術などに根ざした大局観、長期的視野がまったく見られない。いざとなれば自らの命を国家国民に捧げるという気概もない。

櫻井:菅首相は原発事故の後、官房長官も統合幕僚長も連れずに自分ひとりで現地視察に行き、自分の横顔をカメラに撮らせましたが、自分が目立つことしか考えていないかのようです。また、菅首相はこの一か月半の間に、23もの会議をつくりました。責任が分散され、誰が本当の責任者かわからない中、混乱ばかり拡大されている。

藤原:こうした危機に際しては、中央集権でトップがすべてを決めるべきです。その代わり失敗したらただちに腹を切る。そのぐらいの覚悟でないと。今はとにかく全力を挙げて原発を安定させ、そして東北を一気に復興すべきです。私は増税は賛成できませんが、国債の発行や埋蔵金の活用など、どんな手段を使ってでも、とにかく一気にやるべきです。そして今度こそ日本が10数年来苦しんでいるデフレ不況から一気に脱却する。それによって税収を増やし、どんどん東北の復興につぎこむ。こういう政策が必要だと思います。

※週刊ポスト2011年5月20日号

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン