国内

『もしドラ』著者「もし総理を民間から招聘するなら孫正義」

 マンガやアニメ化も話題となり、社会現象となっている『もしドラ』。原作は250万部を突破したベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社刊)だ。マネジメント(経営学)の父と言われるピーター・F・ドラッカーは、「組織のリーダーの資質」について、多くの言葉を残している。その『もしドラ』著者の岩崎夏海氏が、大震災に直面した日本に必要なリーダー像について語る。

* * *
 ドラッカーは言う。

〈マネジャーにできなくてはならないことは、そのほとんどが教わらなくても学ぶことはできる。しかし、学ぶことができない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである〉(『マネジメント』より)

 「真摯さ」は、ドラッカーのキーワードの一つで、原書では「integrity」となっている。この言葉には「人から何を言われても自分の信念を曲げない」という意味が強く込められている。

 つまり、「何が正しいか」を考えるのなら、自分の信念を曲げず、「正しい」と思ったことに突き進むことが大事だということである。それが行動にもつながっていく。

 ところが、菅直人氏を見ていると、「○○会議」「○○対策本部」といった組織をいくつも立ち上げ、人の意見ばかり聞こうとしているように感じられる。これではいつまで経ってもがんじがらめの状態で、一向に前に進めないのではないか。

  英語で「No pain, no gain」(痛みなくして前進なし)という表現がある。正しいことをやろうとすると、必ず批判され、逆風が吹くという意味だ。だから真のリーダーは嫌われることが多い。

「人から好かれる人がリーダーになることはあまりない」というドラッカーの言葉があるが、まさにその通りだと思う。こうも言っている。

〈リーダーシップは重要である。しかしそれは、今日、リーダーシップと名づけられ喧伝されているものとは大いに異なる。それは、いわゆるリーダー的資質とは関係ない。カリスマ性とはさらに関係ない。神秘的なものではない。平凡で退屈なものである。その本質は行動にある〉(『プロフェッショナルの条件』より)

 もし、真のリーダーを国政に求めるなら、首相は国会議員の中から国会の議決で指名すると定めている憲法を改正し、民間から招聘するという手段も考えられなくもない。もし私が選ぶとすれば、ソフトバンク社長の孫正義氏である。孫氏のように国難に際し、多額の私財を投じるなどのリスクを背負い、なおかつ信念をもって真摯に行動する人なら、耳を傾けてもいいかな、と思うのだ。

※SAPIO2011年5月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン