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昆虫飼育が超マイナーな米国では「虫は瞬時につぶす対象」

 おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』や週刊ポスト連載をまとめた『アメリカなう。』などがある。おぐに氏が、アメリカの「昆虫採集」事情を解説する。
 
 * * *
 人生のほとんどは海外暮らし、という日本人の男友だちが、気味悪そうにいう。「日本でこの前、アリの巣観察セットが癒し系インテリアとして売られてて、仰天したんです」ああ、アレね。ガラス板に挟まれた透明な特殊ジェルの中で、アリが巣穴を作るってやつ。以前、大人向けに商品開発されたら大ヒット。今も相変わらず売れてるらしい。
 
「あら、心が和むじゃない?」「働きアリに我が身を重ねて励まされる、っていうか」「巣穴が出来上がる様子に達成感を感じちゃうわよね~」。夫婦して、「アリに癒される日本人の心」ってヤツを説明してみたんだけど。彼は「そもそも僕、昆虫を飼う、ってこと自体が全然理解できないんです」だって!
 
 実は、アメリカでは昆虫飼育は恐ろしくマイナーな行為だ。「夏休みに子供が虫捕り網とカゴ持って野山を駆け回る」なんて光景、アメリカではまず見ない。ペットショップに昆虫などいないし、珍しいカブトやクワガタが高値で取引される、なんて話も聞かない。
 
 昆虫の一生は短い。生まれ、変態し、死んでいく。これを観察することで、子供は命の大切さや自然の不思議を学ぶのよ、と説明したけど、やっぱりダメ。「ペットなら犬やネコを飼えよ」「虫? 瞬時につぶす対象でしかないね」と何度アメリカ人に呆れられたことか。どうやら「昆虫飼育」がこれほど浸透してる日本のほうが、世界からみると“変わり種”らしい。

※週刊ポスト2011年5月27日号

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