国内

鳩山内閣は既得権派に抵抗しすぎ、菅内閣は屈しすぎ今に至る

 菅政権と鳩山政権の違いは、この国の政治の本性を見事に体現しているといえるのかもしれない。

 菅政権の特徴は官僚や大メディアなど「既得権派」の利益を第一に考え、その“指導”に平身低頭、従う一方で、国民に対しては居丈高になる。原発事故では情報を隠して「安全だ」と騙し続け、マスコミを通じた世論操作で大増税路線を敷いた。暴君政治だ。

 鳩山政権はどうだったかというと、褒められたものでなかったという点では菅政権といい勝負だが、なぜ何もできずに終わったかの理由は正反対だった。

 つまり、官僚や大メディアのいうことを聞かなかったために、猛烈なサボタージュとバッシングを受け、機能不全になって倒れたのだ。政権崩壊の原因となった普天間問題では、「県外移設」という国民が喝采した政策を掲げたまではよかったが、「既得権派」の側に立つ官僚や閣僚に裏切られ、最後は汚名を着ることになったのである。

 どちらがより無能か、など論じても何の役にも立たない。が、この国の「黒幕」が誰であり、政治には、それに抗う能力が全くないことは、この2つの無能政権がはっきりと教えている。

 ウィキリークスが朝日新聞に提供したアメリカ政府の公電により明らかにされたのは、日本の外交権が官僚機構によって壟断され、政治家はそれを追認し、さらに大メディアまで官僚によって「教育」されているという、この国の惨状だったのである。

※週刊ポスト2011年5月27日号

関連キーワード

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン