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原発賠償金が枯渇 1200億円の追加財源を海江田大臣が発案

 福島第一原発事故に絡む損害賠償金の原資は、1200億円。だが、まもなくそれは使い切られる運命だ。では、どうするか。新たな賠償金の“捻出”に裏技があると、ジャーナリストの須田慎一郎氏が報告する。

 * * *
 早くも損害賠償金の支払いに黄信号がともっている。

「このままいったら、福島第一原発事故に絡む損害賠償金の支払いは、間違いなく7月中にもストップすることになる。それというのも、その支払いに充てる原資が枯渇してしまうからだ」(経済産業省幹部)

 損害賠償金の支払いに関して言えば、これまで東電は原子力損害賠償法(原賠法)にもとづいて政府から支給される予定の1200億円を見込んで避難住民などに約5000億円の仮払い金の支払いを実施してきた。加えてもう約500億円の支払い先についてはほぼ決定しており、前述の1200億円については、遅くとも7月初旬には使い切る見通しだ。

 そうした意味でも、東電が被害者に支払う義務を負う巨額の損害賠償を支援するための「原子力損害賠償支援機構法案(原発賠償法案)」の早期成立が望まれるところだが、菅首相の退陣問題にも決着がつかないなどグチャグチャの政治情勢の中で、現状では成立の見通しはまったく見えてこない。

 そうなると1200億円を使い切った段階で賠償金の支払いはストップすることになり、原発事故被害者の生活に重大な影響が出てくることが充分に予想される。

 これを強く危惧する海江田万里経産大臣が言う。

「そうした事態に陥ることだけは、絶対に避けなければならない。そのために事故を起こした福島第一原発に加えて、避難勧告の出た福島第二原発についても事故の発生を認定し、1200億円の追加支給が出来ないものか検討している」

 原賠法で認められている政府負担金は、一施設あたり最大で1200億円。だとすると前述の“海江田案”も法的には可能と言えよう。

「しかしその案については、財務省が頑として応じようとはしない。これから色々と説得してみようと思うが」(海江田大臣)

 さて財務省はどのような判断を下すのか。スムーズな賠償金支払いができるかど
うか、政治が空転するなか、財務省の動向が注目される。

※SAPIO 2011年7月20日号

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