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盛況の上海モーターショーも日本企業のブースはガラガラ

 日本の内需が低迷するなか、日本企業が勝ち残るひとつの条件として、成長著しい新興国で勝ち残れるかどうかが鍵になる。特に人口増と経済成長著しい中国で活躍できる企業であれば、今後の業績も期待できるといえるだろう。ではどのような企業が勝ち残れるのか? 経済アナリストの木下晃伸氏が解説する。

 * * *
 株価は、今後も高い成長が見込まれる国や分野で圧倒的な活躍が期待できる銘柄こそ輝きを放つ。大震災や原発事故に見舞われた日本や景気回復道半ばの米国はもちろん、欧州の信用不安も未だくすぶり続けるなか、その答えは限られてくる。それは中国をはじめとする新興国にほかならない。

 私は、今年4月に開かれた上海国際モーターショーをこの目で見たが、そのことを改めて実感した。

 とりわけ盛況だったのが、米ゼネラル・モーターズ(GM)と独フォルクスワーゲン(VW)のブースだった。いずれも中国自動車メーカー大手の上海汽車と合弁を組み、世界最大の自動車大国となった中国ではトップシェアを争う。そんな人だかりとは対照的に、ガラガラだったのが日本の自動車メーカーのブースだった。

 いうまでもなく、人口増加、それに伴う経済成長が著しい新興国でなければモノは売れない。なかでも一際目を引くのが、やはり中国である。すでにGDP(国内総生産)では日本を抜き、IMF(国際通貨基金)の予想では「2016年には米国を抜いて世界最大の経済大国になる」と見られている。その理由は、13億人という人口はもちろんだが、何よりも成功のモデルケースが自国内にあることが大きい、というのが私の見方だ。

 発展著しい中国だが、それはまだ上海など沿海部の大都市に限られている。その成功モデルを発展途上にある内陸部などに広めていくことで、コストダウンを図りながら分厚い成長がまだまだ望める。それこそが中国の底力であり、これからの10年がまさに“ゴールデンイヤー”になると見て間違いないだろう。

 にもかかわらず、上海国際モーターショーを見る限り、残念ながら日本を代表する自動車メーカーですら太刀打ちできていない状況が浮き彫りになっているのだ。

 では、そんな中国で日本企業が勝てる条件とは何か。

 ひとつは徹底した現地化が挙げられるだろう。現地化を進めてコストダウンを図り、価格競争力を持つ。同時に、圧倒的な技術力に基づくブランド価値を高めることも必須条件だ。加えていえば、日本のモノづくりを代表する自動車メーカーは軒並み中国を重視しているが、残念ながらその分野は中国側も力を入れており、なかなか勝機は見出せない。むしろ中国が力を入れていない分野であるほど、勝てる可能性が高まるといえるだろう。

※マネーポスト2011年7月号

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