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柳川鍋のタレ使った「うな玉丼」 甘辛のうまみが加わり絶品

『どぜう飯田屋』の「うな玉丼」

 今夏は猛暑だからこそ、元気を出すために食べたいのが、やっぱりうなぎ! ……というわけで、グルメ雑誌『アリガット』誌の元編集長・小川フミオ氏がセレクトした『どぜう飯田屋』(東京・浅草)の「うな玉丼」を紹介します!

 * * *
『うなぎの幇間(たいこ)』という落語がある。真夏の炎天下、うなぎが食べたい幇間持ちが、前から歩いてきた知らない旦那に取り入って、うなぎをごちそうになろうとする話だ。そのなかで、「うなぎを焼くには時間がかかるから、待つ間楽しめるようにと、うまい酒を置いているのだ」といううんちくが出てきたりする。

 うなぎはずっと愛されてきた、一種の夏の風物詩だ。そのうなぎを気楽に、でもおいしさはしっかり味わいたいのなら、『どぜう飯田屋』のうな玉丼などがよいだろう。

 明治から続くどじょう料理の専門店だが、うなぎも人気。活きのいい状態でないとおいしくないどじょうの管理技術を、うなぎにも活かしている。さらにどじょうの柳川鍋のたれを使うので、うなぎの味に、甘辛のうまみが加わり、口中にじつによい味が広がる。

 飯田屋では毎朝、複数の卸業者から取り寄せたうなぎを試食して、脂ののり具合などで、「これは蒲焼きに、こちらはうな玉丼に」と振り分けていくという。これもうまさの秘密のようだ。

 もうひとつの名物、どぜう汁を頼み、うな玉丼とともに食べると、胃の中心から暑い夏を乗りきる元気が湧いてくる。それがうなぎの力だ。

■『どぜう飯田屋』の「うな玉丼」 1400円

【住所】東京都台東区西浅草3-3-2
【営業時間】11時半~21時(LO)
【定休日】水
【カード】可

 むしろが敷き詰められた床に座ると、よしず張りの窓から涼風が店内を通り抜ける。浅草ならではの情緒だろうか。それだけでも嬉しい。「どぜう」と表記されるどじょう料理は、「どぜう汁(300円)」や「どぜう鍋(1500円)」などバリエーションが多い。8月まではどじょうが卵を持っている時期で、各地からこれを食べに来る人が多い。

撮影■河野公俊

※週刊ポスト2011年8月5日号

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