国内

「リポビタンD」のCM 必ずピンチ脱出後に飲む理由とは?

 普段何気なく見ているドリンク剤のCMにも、多くの規制があることをご存じか。国や自治体の法律、条例などの在り方に鋭くメスを入れる話題の新刊『「規制」を変えれば電気も足りる』(小学館101新書)を上梓した元経産省キャリア官僚の原英史氏(現・政策工房社長)が、身近な生活の中に潜む細かな「規制」について解説する。

 * * *
 いつも何気なく見ているテレビ。実は規制と無縁ではない。むしろ規制だらけの世界だと言っていい。

 例えばお馴染みのテレビCMを考えてみよう。足場のない断崖絶壁を2人の男性が登っている。一人が手を滑らせて落ちそうになると、もう一人が手を差し出し、「ファイト~」「一発!」の掛け声でピンチを脱出する。崖を登り切った2人がドリンクをグイッと飲み干す。大正製薬の栄養ドリンク「リポビタンD」のCMだ。

 さて、このCM、落ち着いて考えるとちょっと不思議な気がしないだろうか。サラリーマンの場合、残業や大仕事の前、気合を入れるためにドリンクを飲む人も多いはず。CMでも、崖を登る前に飲んでおけばいいのではないか……。ところが、なぜかいつも、ドリンクを飲むのはピンチを脱出した「後」。これは規制があるからだ。

 リポビタンDは指定医薬部外品だが、薬事法ではその広告について「誇大広告をしてはいけません」とある(66条1項)。さらに、「医薬品等適正広告基準」(昭和55年厚生省薬務局長通知)という「通達」があって、「承認を受けている効能効果以外を謳ってはならない」ともある。
 
 リポビタンDの場合、効能は「疲労回復、滋養強壮」で、「疲労の予防」は含まれない。CMで「疲れる前にあらかじめドリンクを飲む→手を滑らせずに元気に崖を登り切る」という流れにすると、「効能効果の範囲」を超えた“誇大広告”になってしまう(日本OTC医薬品協会の説明による)。
 
 だから、ドリンクは「ピンチ脱出後」に飲んでいるのだ。

関連記事

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン