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2011.08.15 16:00  NEWSポストセブン

西村賢太 僕とネット住人の共通点は青春謳歌の記憶ないこと

西村賢太氏連続インタビュー

「俺らの代表!」「底辺住民の誇り!」。私小説家・西村賢太氏(44歳)はネット界の住民に絶大な人気を誇る。2011年、『苦役列車』で第144回芥川賞を授賞。その受賞記者会見で、受賞が決まった瞬間を聞かれて「自宅でそろそろ風俗に行こうかなと思っていたんですが」という発言が大受けした。

さらに子どもの頃に父親が性犯罪で逮捕され家庭が崩壊、中卒のまま肉体労働に従事していたというプロフィールが紹介されるや、「2ちゃんねる」などで冒頭のような賛辞が捧げられた。

大正から昭和初期の私小説家・藤澤清造の「歿後弟子」を名乗り、自身を投影した「北町貫多」が見た社会と、一年同棲した「秋恵」との出会いと別れを延々と書き続ける。

破天荒な生い立ち、特異な作風。芥川賞受賞後第一作品集『寒灯』(新潮社)刊行を機に、人気文士の素顔に迫る。(聞き手=神田憲行)

* * *
--先日、テレビのバラエティ特番にお出になっているのを拝見しました。以前、エッセイでそういうものには出ないと書いていらっしゃったので意外でした。

西村:最初は断っていたんですが、テレビに出るとやはり本の動きが良いので、少しでも宣伝になればと思い、出るようになりました。どうせ出演依頼は来なくなるときには来なくなるものだし、僕は今までの人生も流れに身を任せていったらそれなりにうまくいったんで、今回もその流儀ですね。

--やはり芥川賞を取ると、生活は一変するものですか。

西村:取材インタビューは増えましたけど、僕の生活自体は全然変わらないですね。以前と同じところに住んでますし、車とか興味ないから。酒も宝焼酎(注・小説の中で北町貫多が好んでよく飲む)をメーカーとか付き合いのある出版社から大量にプレゼントされたんですよ(笑)。芥川もらってから一度も晩酌用の酒は買ってませんね。

--受賞記者会見が話題となり、ネットでは「我らのスター」のような人気ぶりです。ご存じでしたか。

西村:パソコンは持ってないんですが、又聞きと携帯サイトで反応は知ってます。でも誤解の面が大きいですね。僕は引きこもりじゃないし、ニートでもない。オタクといえば私小説に関してはオタクかもしれませんが、アニメとか全然興味ないですしね。ダメ人間演じているところありますけども、いうほどダメ人間じゃないですよ(笑)。モラルもわきまえてますし、常識はあるつもりです。

受賞記者会見では、(同時受賞者の)朝吹真理子さんがとうとうと理論を立てて喋っていらっしゃるのにドキドキしちやって、つい苦しまぎれをポロッといっちゃったら、変な食い付き方をされて(笑)。僕にとっては美味しかったんですけども(笑)。

けど、ニコニコ動画で記者会見の模様が繰り返されなかったら、『苦役列車』も20万部近くいかなかったと思いますね。全てのことがうまい具合にプラスになって意外な展開になりましたなあ(笑)。

敢えてネットの人たちと共通点を探せば、若さとか青春を謳歌した記憶がないということでしょうか。ただ彼らはたぶん僕の小説を読んでいないので、そこまではわからないと思うんですよ。だから見た目で、変なきったないオッサンが出てきたということで食いついただけでしょう(笑)。


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