ライフ

法律、政令、省令、通達……、国の法令の違いわかりますか?

話題の新刊『「規制」を変えれば電気も足りる』(小学館101新書)を上梓し、お役所が差配する「規制」の裏のウラまで知り尽くす元経産省キャリア官僚の原英史氏(現・政策工房社長)が、「おバカ規制」がどう作られるかの仕組みを解説する。

* * *
国の法令の名前を見ると、「××法」「××令」「××規則」とか、いろいろとあってややこしい。まず、国の法令は、「三段重ね」の構造になっていることを理解しておくといい。

「法律」→「政令」→「省令」の順に下にいくほど、いわば“細則”。つまり細かいことを決めていて、決めるための手続きも軽くなる。

■法律
ご存じの通り、国会で決める。名前の末尾が「××法」か「××法律」だったら法律。

■政令
国会ではなく、政府が決める。だから「政令」と言う。手続きは、閣議決定。つまり全大臣がサインして、政府全体として決定する。末尾は「××施行令」か「××政令」。

■省令
厚生労働省や文部科学省など、特定の「省」が決める。手続きは政令よりさらに軽くて、その省の中だけで決めてよい。他の役所が異を唱えていても関係ないわけだ。末尾は「××施行規則」か「××省令」。

「電子政府総合窓口」(www.e-gov.go.jp)の「法令検索」のページを見ると、いろんな「法律」「政令」「省令」の条文を見ることができる。

さて、以上の説明で、「要するに『法律』が一番大事なんだな」と思ったかもしれない。これは、本来は正しいはずだが、実際には大間違いになることがある。本当に大事なことほど、軽い手続きの「省令」で決められていたりするのだ。

また「省令」のさらに下に「通達」というものがある。これは、××省の局長や課長らの名前で出した、ただのお手紙みたいなもので、厳密には法令ではない。通常、業界団体や自治体に向けて、「法律のこの規定は、こう解釈・運用せよ」などとルールを定める内容だ。

だからといって、重要度が低いと思ったら大間違い。通達は省令よりもっと大事だったりする。そして当然のことながら省令と同じロジックで、出すための手続きは軽くて済むため、役所の意志が反映されやすい。昔から「通達行政」という言葉があるが、むしろ「大事なことは通達で決められている」のである。

例えば、2010年2月に全国のオフィスに大騒動を引き起こした、「派遣社員は電話に出るな」という規制は厚生労働省が出した「通達」なのだ。

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
デビュー25周年を迎えた後藤真希
デビュー25周年の後藤真希 「なんだか“作ったもの”に感じてしまった」とモー娘。時代の葛藤明かす きゃんちゅー、AKBとのコラボで感じた“意識の変化”も
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
ものづくりの現場がやっぱり好きだと菊川怜は言う
《15年ぶりに映画出演》菊川怜インタビュー 三児の子育てを中心とした生活の中、肉体的にハードでも「これまでのイメージを覆すような役にも挑戦していきたい」と意気込み
週刊ポスト
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン