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新聞が「方針を固めた」という表現を使ったらそれは特ダネ

 新聞を読んでいると、「○○が××する方針を固めた」という文字を目にすることがある。この言い回しに込められた意味を、東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が解説する。

 * * *
 来年度政府予算について報道が相次いでいる。そんな記事の中から、一つ紹介しよう。

「政府は18日、平成24年度当初予算で各省庁が財務省に提出する概算要求について、一般歳出とは別枠の東日本大震災の復興関連は、要求額に上限を定めない方針を固めた」(産経新聞8月19日付)

 ここで注目したいのは最後の「方針を固めた」という言い回しである。これは、どういう意味か。
 
 方針は普通「決める」ものだ。新聞が「固めた」というときは「決めた」よりも弱いニュアンスを込めている。つまり「まだ流動的要素が少しは残っていますよ」という感触を読者に伝えようとしているのである。
 
 この記事の場合だと、政府は一応「要求額に上限を定めない方針」でいるのだが、正式決定したわけではなく、最終的にどうなるか分からない部分を少し残している。どうして「固めた」と表現するかといえば、記者側の事情と情報源である政府側の事情がある。
 
 記者側から言えば「政府がそういう方針であるのは間違いないけど、まだ正式決定じゃないからちょっとぼかした」という事情だ。政府の方針を決定前にいち早く報じるという意味で「これは特ダネなんだぜ」という自慢気な意識も込められている。

※週刊ポスト2011年9月9日号

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