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仮設住宅の女性暴行死事件に捜査関係者「震災がなければ…」

 女性は巨大な津波を間一髪で逃れ、命を取り留めたはずだった。ところが、その5か月後。被災者用の“仮設住宅”で交際男性に顔を殴打され、この世を去った。両腕と両足には、タオルできつく縛られた跡があったという。宮城県石巻署は8月19日、同居する46歳女性を暴行したとして会社員浅倉正規容疑者(50)を逮捕監禁致傷の疑いで逮捕した。捜査関係者が語る。

「二人は被災する前から交際して、内縁関係にあった。容疑者は、『女性が酒に酔って、別の女性の存在を邪推したのがケンカの原因。女性の顔を殴ると、騒いで暴れるので猿ぐつわをした』と供述しています」

 舞台となったのはJR石巻駅から車で10分の距離にある仮設住宅だ。もとは工業団地として、市が企業を誘致しようとしたスペース。女性が入居契約した部屋に、浅倉容疑者が頻繁に訪ねてくるようになったという。隣人はこう話す。

「亡くなった女性は、中肉中背で目立つような方ではなかった。男の人はパンチパーマをかけ、浅黒く焼けていました。入居してから1週間くらいで騒がしくなった。深夜大声でいい合ったり、壁を叩いたり……。私もカッとなって壁を叩き返したことがありました」

 事件の前の晩は午後8時半頃から喧嘩が始まった。女性が「貸した金を返せ」と憤ると、「うるせぇ! そのうち払ってやるよ」と容疑者。そして――。「最後に怒鳴り声が聞こえたのは深夜0時頃。その後、静かになったんです」

 日々の諍いは、地域住人の知るところだった。が、二人の関係を取り持つ者はいなかったという。この住宅に住む70代女性が声を潜めながらいった。

「市内で被災した方が別々に入っているので、住民同士の交流がほとんどない。私のような高齢者はご近所さんとお茶することもできない。とても寂しい……」

 別の住人も続ける。

「壁が薄いから夜になるとテレビや話し声にも気を遣う。避難所生活よりはマシだけど本当の意味で休まった気はしません。皆、我慢して暮らしているんです」

 4畳半2間で繰り広げられた修羅―環境の変化を、やすやすと事件と結び付けることはできないものの、捜査関係者はこう嘆いた。

「震災に遭っていなければ、こんなことにもなっていなかったかもしれないねぇ」

※週刊ポスト2011年9月9日号

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