芸能

タイガースのメンバー「死を迎えるまでは今のような状態で」

 1960年代後半に日本中を興奮の渦に巻き込んだ伝説のグループサウンズ「ザ・タイガース」。解散から40年経ち、今年9月8日、東京国際フォーラムで初日を迎えた「沢田研二LIVE2011~2012」(全38公演)にメンバー(沢田研二・岸部一徳・森本太郎・瞳みのる ※加橋かつみと岸部四郎は不在)が再集結した。ザ・タイガースメンバーたちの還暦再開秘話を紹介しよう。

 * * *
 ザ・タイガースは解散後、瞳は教職につき、沢田は歌手として一世を風靡、岸部兄弟は役者へと転身した。森本も「タローとアルファベッツ」を結成後、芸能プロに入社し河合奈保子、西城秀樹らをプロデュース、現在は「森本太郎とスーパースター」を結成し、音楽活動を続ける。加橋は音楽プロデューサーになった。

 そんなメンバーたちは還暦の年代を迎えた。この間も親交のあった森本、沢田、岸部は互いに還暦を祝い、沢田は岸部に赤いベースを、森本にイルカの形のギターをプレゼントした。

 また瞳が還暦を迎える前年の2005年には岸部と沢田が作詞を、森本が作曲を手がけた『Long Good-by』という曲が完成する。「最後のコンサートのあと、こんなに長い別れになるとは思わなかった。いつも君のことを気にかけている。一度呑まないか」。連絡が途絶えた瞳に捧げる曲だった。そして、その歌を聞いた瞳は返歌として『道』という曲を書いた。

 還暦という節目を迎えエールを送り合った4人は、ステージに立った。

「厳密には再結成とはいえないけど、還暦をすぎてこうして集まれた。昔の仲間と昔を思い出しながら楽しく好きな音楽を一緒にできる。とにかくそれが楽しいけど、僕にとってもっと大事なことは来年1月、ツアーが終わった後のこと。彼らと同じようにつき合っていけるかということ。このツアーで関係が終わりじゃ寂しい。いずれ、僕らには『死』という絶対的な別れがくる。その別れまで今のような状態でいたいんです。それは回数じゃなくて、会いたいと思ったときに会える関係でいたいということなんです」(森本)

 華々しいステージを迎えたばかりの森本の切なる願いは、飾らない、とてもシンプルなものだった。

「沢田研二LIVE」でアンコールを含めた24曲を歌った4人は、止まらない歓声に応えるように再びステージに現われ、互いの手をとって掲げた。60を超え、友情を分かち合う笑顔はまるで少年のようだった。

取材・文■石坂晴海

※週刊ポスト2011年9月30日号

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン