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永谷園生姜部「生姜の一大ブームをこの手で作ってみせます」

 ピリッとした味がアクセント。食べれば体が温まると、生姜を利用した食品が人気だ。その仕掛け役ともいえる永谷園から、生姜を使ったお茶漬けやふりかけが続々と登場。成功させたのは、同社に根付く、飽くなき本物へのこだわりだった。

 * * *
 永谷園生姜部――。部員数は17名。通常の業務部ではない部活動から、新商品が発売されている。

 同社のHPを見てみると、生姜を型取ったかぶりもの姿の部員たちが飛び込んでくる。彼らの手によるブログやツイッターも展開され、遊び心満載。実に楽しそうだ。

 本来、業務外活動であるはずの部活から、なぜ新商品が生まれたのか? 発起人のひとりである同社マーケティング本部マーケティング企画部部長・矢島幸一氏が語る。

「2007年に、生姜を使った即席スープを発売したところ、予想を上回るヒットになったことが生姜部設立のきっかけです。生姜関連商品の市場は今後大きく成長する可能性があると感じました。

 生姜はビタミンを豊富に含み、体を温める成分があることはわかっていましたが、知識はその程度。それ以外は、調べようとしても、詳しい文献も見当たらない。ならば徹底的に調べてみようと、社内の生姜好きが集まり、部の設立が実現しました。思いついたら即行動! 動かなければ何も生まれない。それが私のモットーです」

「もちろん、大の生姜好きです! 仕事以外で生姜に触れられる。これは大変“楽しい”ことになると、思いました」

 部を発足して2年が経過した頃だった。矢島氏はこの思いが自分だけのものではないことを目の当たりにする。自分たちで育てた生姜2000キログラム以上を前に、生姜料理のレシピが溢れんばかりに出てくる部員たち。

「この生姜を使った商品を開発してみたい。自分たちの可能性を信じることが今後の大きな力になるはずです」

 部員たちのそんな声に後押しされ、矢島氏はついにトップに直訴することにした。

「部活を業務で活用することは反対だ」と、却下されてもおかしくはない。ところが、トップの返事は矢島氏をさらに奮い立たせた。

「やってみろ。ただし、やるからには、半端なものにはするな」

 この言葉が、部員の物作りの魂に火を付け、収穫から半年で通販限定ながら育てた生姜を使った商品の販売にこぎ着けた。

 商品化するアイデアは山ほどある。その中からお茶漬け、ふりかけ、みそ汁に絞られた。同社の看板商品が並ぶジャンルだ。9月。いよいよ4種が発売。さらに、次々と商品が追加投入され、冬までに16商品が一気に揃う。

「今からが本当のスタート。生姜の一大ブームをこの手で作ってみせます」

※週刊ポスト2011年10月7日号

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