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公務員宿舎削減の検討会 参加者は財務省に楯突けぬ人だらけ

野田首相が財務相時代に決断した「豪華官舎の建設再開」は、本誌報道などをきっかけに大きな批判を浴び、首相は慌てて「再凍結した上で官舎のあり方を検討する」とした。財務省は「国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会」を設け、さっそく10月に5回、会議を開いている。

ところが、もともと建設に固執していた財務省が委員を選び、しかも会議は非公開。その委員は、政府から座長の藤田幸久・財務副大臣ら、官僚からは田中一穂・理財局長ら、ほかに10人の「民間有識者」が選ばれた。

この有識者10人の面々が不可解だ。うち4人が、2009年の事業仕分けによる「建設の凍結」後に設けられた旧・宿舎のあり方検討会に関わり、今回の騒動の元となる「建設再開」を答申した張本人たちである。残りも政府系銀行の行員、政府広報を手がけるPR会社の長、元総務省高官、元NHK幹部など、税金や公金で生業を立ててきた、はっきりいえば財務省に楯突けない立場の人ばかりだ。

はたして、10月末に公開された、発言者を匿名とする議事概要を見てみると、財務省寄り発言のオンパレードだった。

「アメリカでトヨタ社の問題が起きた時の対応と似ており、感情論は合理的に説明しても受け付けられない」

「政府支出の相当部分が公務員の給料や公共投資であると勘違いしている人もおり、彼らは公務員の給料を削って公共投資をやめれば増税などしなくてもよいと思っており、そこに今回のような騒動の起きる根源があるように思う」

「役所の人も給料が減り、住宅が減る中で、現在の住宅補助費で民間住宅を借りにいったときに、それでは足りないということを正直に議論したほうがよい」

トヨタの米リコール問題は大バッシングを浴びたものの最終的に装置に欠陥はなかったことが判明した。今回も同様のいわれなきネガティブキャンペーンだといいたいらしい。なかなかの「有識」ぶりだ。住宅補助費(上限月2万7000円)の発言にいたっては、給料から家賃を払う気がない、公務員のお手盛り体質をあらわにしている。

文・若林亜紀(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2011年11月25日号

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