ビジネス

トウモロコシと大豆価格 年末底値で4月まで上昇する傾向

一般的に投資市場が形成されているコモディティ市場(商品市場)には、金や銀、プラチナといった貴金属をはじめ、原油やガスなどのエネルギー、アルミニウムや銅などの非鉄金属、大豆やトウモロコシ、小麦などの農産物などがある。

では、どんなコモディティを投資対象に選んだらよいのだろうか。商品先物取引を扱う「第一商品」アナリストの小野孝氏は、商品別の相場観を以下のように分析する。

まずは金だが、チャートを見ても長期的に価格上昇を続けている。その年間の値動きを見ると、秋から年末にかけて値上がりするのが例年の傾向だ。

「この10年以上にわたり、リーマンショックの年(2008年)を除き、10月に買って翌年の1~2月に売っていれば、必ず儲けが出ていた」(小野氏)

銀は、基本的に金に準じた値動きをするが、その一方で投機的な動きがあるのが特徴で、注意が必要だ。欧米では金より銀が好まれており、インフレになると先に銀が買われる。そのため、日本の市場にも海外資金が入りやすく、投機的な値動きが出る要因となっている。

プラチナは、金の2か月遅れのタイミングの値動きをする傾向があるので、年末から3~4月にかけて上昇する。つまり、今が仕込み時ということだ。

原油の特徴は、日本市場では多くのコモディティが米国市場の動きに連動する傾向が強いのに対し、それとは違う動きが見られることだ。ニューヨーク市場の原油価格は、6~10月に値上がりし、10~1月に下落するのが例年の傾向だが、東京市場は1月から上がることが多い。

また、原油の実需は気候に左右されるので、米国に寒波が来ればニューヨーク市場での価格は上がるが、一方で日本が暖冬であれば、東京市場の価格は上がらないといった事情もある。

欧州の財政金融危機などに伴う世界的な株安による損失を埋めるため、ヘッジファンドなどが換金売りを加速。そのため、9月以降は下落基調となっているトウモロコシや大豆はどうだろうか。

世界のトウモロコシ、大豆の取引価格を決める上で重要な指標となるのがシカゴ市場(マーカンタイル取引所)の値動きだ。その過去26年間の毎月の価格平均値を見ると、トウモロコシは11月に、大豆は10~12月に年間の底値を付け、その後はどちらも4月ぐらいまで上昇するという傾向が確認できる。

「この経験則からいえば、トウモロコシと大豆は年末から来年にかけて値上がりが見込まれる。しかも、現在の価格は、例年以上に下落幅が大きかったので、大きなリバウンドが期待できそうです」(小野氏)

それを狙って、今こそが買いを入れる絶好のタイミングだというのである。

※週刊ポスト2011年12月23日号

関連キーワード

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン