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なでしこと澤穂希選手のCM出演10社超えに「忍び寄る危機」説

なでしこJAPANと澤穂希選手のCM出演は10社を超え、年末年始のテレビ出演もすさまじかった。でも、女子サッカーの魅力を「言葉で」伝える作業は、もう十分では? 以下は、作家で五感生活研究所の、山下柚実氏の視点である。

* * *

「今、一番旬なスポーツ選手。ぜひ横浜スタジアムで始球式をやってもらいたい」。新球団DeNAの中畑清監督が、澤穂希選手に強烈なラブコールを送っているとか。

次から次へと依頼が殺到している、なでしこJAPANと澤穂希選手。CM出演は10社を超え、年末年始のテレビ出演もすさまじかった。NHK紅白歌合戦で澤選手の姿を見かけた時には、ここにまで登場するかと、どきりとした視聴者もいたのではないでしょうか。私もその一人です。

テレビ出演が悪いとは言いません。「少しでも女子サッカーの魅力を伝えたい」、「ファンを増やしたい」という気持ちも想像できる。

これまで置かれてきた逆境を考えれば、スポンサーを獲得することも大切な仕事でしょう。サッカーファンも私自身も多くの人々が、心から澤選手となでしこたちの活躍に、拍手を送っています。

でも。「今の一番の目標は、オフを取ること」。澤選手がそう語ったという話を、スポーツジャーナリストがにこにこしながら、年明けのテレビ番組で報告した時、背筋がヒヤリとしました。

今、目標を問われたら、澤選手には間違いなく、「オリンピックで金メダルを取ること」と答えてほしかったと思いませんか? 多くの人が、「そうそう」とうなずくのではないでしょうか。

世界一になることは、そう甘いものではないはずです。なでしこたちがテレビ出演やCM撮影やイベントにひっぱりだこになって、にこやかに振る舞っているその同じ時間に、全世界の女子サッカー選手たちはがむしゃらにボールを蹴っている。少なくとも、次の五輪で世界一を狙っているライバルたちは、大半の時間を猛練習にあてているのです。

女子サッカーファンのはしくれとして、愛するがゆえに言いたい。女子サッカーの魅力を「言葉で」伝える作業は、もう十分ではないでしょうか。それよりも、質の高いゲームをすることに万全の準備を整え、全世界でまだどのチームも果たしたことが無い奇跡、「連続世界一」の栄冠を獲得してほしい。

そうすれば、誰だって日本女子サッカーの虜になるはずです。これからの半年、一分一秒が勝負。どうか頑張ってください。

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