スポーツ

杉原輝雄氏 妻に「すまんかったな」と言い残し息を引き取る

享年74歳。死の瞬間まで現役にこだわった「ゴルフ界のドン」杉原輝雄氏が昨年12月23日に亡くなった。「マムシ」との異名を持ち、周りにも自分にも人一倍厳しく接した彼。その晩年の様子を、ジャーナリスト・鵜飼克郎氏がレポートする。(文中敬称略)

* * *
晩年は弱気になる一面も見せるようになった。口癖の「しゃーないがな」が、「もう死んだ方がマシや」に変わった。(長男の)敏一に「あの時(手術でガンを)取った方がよかったかな」と漏らすこともあったという。

「がんが全身に転移した頃には、オヤジから少し頑固さが消えていました。それまでは親子というより、家の中でも師弟関係の延長だった。以前はオヤジに治療の話をすると“そんな暇があったらボールを打ってこい”と怒られていたのが、僕の話にも耳を傾けてくれるようになった。闘病生活の末期は僕が水を飲ませたり、車椅子を押したりして、師匠からお父さんに戻った感じでした」

看病を通じて師弟から親子の関係に戻ることができたと敏一はいう。晩年、杉原はこう話していた。

「がんに冒された僕がいうから説得力があると思うが、がんは早期発見、早期治療が大事。僕はプロゴルファーという特殊事情があり、家族に迷惑をかけてしまった。がん治療についてはすべて自分の判断で決めてきたことやから後悔はしていません。ただ、反省はせなアカンと思うてます。心配してくれる家族がいる以上、少しでも長生きする手段を選ばないといけない。それは痛感しています。

僕のがんについて家内がなんやかんやいうことはない。ホンマは心配しとるかもしれんけど、それを口に出さんでおってくれるのは、やっぱりありがたいね。命よりゴルフを選んだ僕に、文句もたくさんあるやろうにな」

「死ぬときは苦しみたくない」生前の言葉通り、杉原は眠るように旅立っていったという。

「前日まで変化はなかったんです。28日の朝、食事の世話もしていないのに“すまんかったな”と言葉をかけてきた。おかしなことをいうなと思いましたが、布団を掛けたら眠るように息を引き取りました」(玲子夫人)

ゴルフウェアで旅立った杉原だが、最期はプロゴルファーではなく夫、そして父親の顔だった。家族への「少しの反省」を伝えて、ドン・杉原は14年の長き闘いに決着をつけた。

※週刊ポスト2012年1月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《“七三分け”白髪の石橋貴明が動き始めた》鈴木保奈美「私がお仕事をしてこられたのは…」“再ブレイクと闘病中”元夫婦の距離感
NEWSポストセブン
波瑠と高杉真宙の仲睦まじいツーショット
《波瑠がメガネと白セーター姿で高杉真宙にピッタリ寄り添い…》「思い出深い1年でした」新婚ホヤホヤの2人は“お揃いのデニムパンツ”で笑顔の神対応
NEWSポストセブン
『激走戦隊カーレンジャー』でピンクレーサー・八神洋子役を演じ、高い人気を得た来栖あつこさん
《スーパー戦隊50年の歴史に幕》「時代に合ったヒーローがいればいい」来栖あつこが明かすイエローとの永遠の別れ、『激走戦隊カーレンジャー』ピンクレーサー役を熱演
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
《識者が“皇族の喫煙事情”に言及》「普段の生活でタバコを吸われる場合は…」秋篠宮さまの“車内モクモク”動画に飛び交う疑問
NEWSポストセブン
小室さん眞子さんのNY生活を支える人物が外務大臣表彰
《小室眞子さん“美術の仕事”の夢が再燃》元プリンセスの立場を生かせる部署も…“超ホワイト”なメトロポリタン美術館就職への道
NEWSポストセブン
今年成年式を終えられた悠仁さま(2025年9月、東京・港区。撮影/JMPA) 
《自らモップがけも…》悠仁さまが筑波大バドミントンサークルで「特別扱いされない」実情 「ひっさー」と呼ばれる“フラットな関係”
週刊ポスト
結婚を発表した長澤まさみ(時事通信フォト)
《トップ女優・長澤まさみの結婚相手は斎藤工と旧知の仲で…》インスタ全削除の“意味深タイミング”
NEWSポストセブン
長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「クマが人里に降りてくるのは必然」「農業は野生動物に対する壮大な餌付け」 知床・ロシアでヒグマを撮った動物写真家が語る “現代の人間に欠けている自然観”
NEWSポストセブン
11人家族の宮前家
《子ども9人“大家族のパン屋さん”》「店員さんが注文を覚えきれなくて(笑)」11人家族のインフレ“金銭事情”と、大人数子育てで培ったこと「マニュアル本は役に立たない」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン