国内

大前研一氏「日本変えるには独裁者と言われるリーダー必要」

 橋下徹大阪市長が唱える「大阪都構想」――その原点は、経営コンサルタントの大前研一氏がかつて立ち上げた「平成維新の会」の政策にある。大阪の統治・行政システムを1から作り直そうという壮大な橋下構想には、太いバックボーンがあるのだ。維新の会の“生みの親”である大前氏が、橋下政治の本質を説く。
     
 * * *
 私は、今から20年ほど前の1992年に「平成維新の会」を立ち上げ、我々の政策に賛同した108名の候補者を93年の総選挙で推薦して83名の代議士を誕生させた。だが、いくら選挙で一大旋風を巻き起こしても、誰も現実に政策を実行できなかった。個々の議員ではなく政党がそれを拒否したからである。

 そこで、私は「新・薩長連合」と題して知事連盟による平成維新を目指し、自ら95年の東京都知事選挙に出馬した。しかし、あえなく落選し、以来、政治の世界から足を洗って今日に至っている。

 その意味では、橋下市長が目指す“維新”は、中央集権を打破する最後のチャンスとなるかもしれない。

 橋下市長を「独裁者」「ハシズム」と批判する向きもある。だが、あえて言いたい。閉塞しきった日本を変えるためには独裁者と言われるほどの力を持ったリーダーが必要なのだ。スピードを変えることは民主的にできるが、方向を変えることは独裁者にしかできないからである。

 戦国時代に天下統一を目指した織田信長も、戦後日本を作り変えたマッカーサーも、独裁者だった。日本の近代化を大胆に進めた明治天皇は絶対君主であった。今の日本の閉塞状態を変えるためには「独裁者・橋下徹」の突破力と破壊力が、なんとしても必要なのである。2012年が「新・戦国時代」の幕開けとなることを願ってやまない。

※SAPIO2012年2月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン