国内

東電のキャラ「でんこちゃん」経費削減のため3月でリストラ

 原発事故に伴う賠償や廃炉の費用で経営破綻の危機に瀕している東京電力は、全社員の年収2割カット、2013年度末までに4万人の社員を3600人減らすなどのリストラ策を打ち出している。
 
 そのリストラ対象者に、ある“超有名社員”が含まれていることは、あまり知られていない。彼女は主婦の身でありながら東電の広告・宣伝の最前線で四半世紀にわたって活躍し、その高い人気から専門ショップまで設けられた「東電の顔」だったのだが――。

 東電の営業エリアに住む人ならば、テレビCMなどで一度は彼女の姿を見たことがあるだろう。

 名前は「でんこちゃん」。東電のマスコットキャラクターだ。

 主な“業務”は、東電のパンフレットやCMに登場して、電気に関する省エネ・安全マナー(たこ足配線の禁止など)を啓蒙すること。

 そのでんこちゃんが、この3月末で東電を“解雇”されるというのである。

 本題に入る前に、東電の管外にお住まいの読者のために、でんこちゃんを簡単に紹介しておこう。

 でんこちゃんは1987年、東電のパンフレットに初登場。1991年からはテレビCMに起用され、マスコットキャラクターとしての地位を確立していった。公式HPも存在し、それによると性格は「親の血をついでちょっとあわて者だけど常に好奇心旺盛」だという。

 1987年の“入社”以来、実に勤続25年の「ベテラン社員」。その人気は高く、東電の関連施設にはグッズ専門店「でんこちゃんショップ」も存在していた(現在は閉店)。

 見た目は幼く見えるでんこちゃんだが、実は人妻である。フルネームは「分電でんこ」で、電柱市電線町という町に住む。夫は技術系のサラリーマンで、優しい性格の「分電盤太」。子供はいないが、HPに載る分電家の家系図には義理の姉「暮野ちえ」や姪「暮野エコ」などの名前もある。

 幸せな家庭を築いていたでんこちゃんだったが、昨年の大震災は彼女の運命を大きく変えた。

 震災直後に「電気と仲良くね!」と呼びかけていたテレビCMが放送されなくなり、その後にHPも削除されたのである。ファンの動揺は激しく、「震災のショックででんこちゃんが夜逃げした」などと騒がれ、その消息が心配されていた。

 そして、今回のリストラ――。

 東電の渉外・広報グループに確認したところ、この情報を事実と認めた。

「今年度末の3月31日で契約期間が切れるので、更新しないことが決まっています。今後の節電PRは『でんこちゃん』なしで行ないます。具体的な内容は決まっていませんが、簡易なパンフレットなどで行なうことになると思います」

 解雇理由は「コスト削減」だという。

「震災後に弊社はCMなどを自粛しており、『でんこちゃん』の使用頻度が減っていました。全社的に諸費用の見直しを行なう中で打ち切りが決まりました」(同前)

 ただし、でんこちゃんのリストラでどれほどのコスト削減になるのかは、「お答えできません」(同前)とのことだった

※週刊ポスト2012年3月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン