国内

家庭の電気代 使えば使うほど高くなるのは経済原則に反する

 多くの家庭もこの冬の記録的寒波で暖房費がかさみ、電気代の高さに苦しんでいることだろう。料金がもう値上げされたと誤解している人も多いほどだが、本当の値上げは企業向けが4月、家庭向けは7月に予定されている。福島の原発事故で多くの原発が止まり、燃料コストの高い火力発電に頼らざるを得ないからだ。

 本来なら電力会社自らがまず身を切ってコストを下げ、さらにマスコミや御用学者にバラ撒いてきたカネを利用者に還元すべきなのだ。バカ高い請求書は、電力行政が何一つ改革されないまま、電力マフィアが再び国民を喰い物にしようと牙をむいたことの揺るがぬ証拠である。

 改めて電気代の請求書を見ていただきたい。冬にエアコンをフル稼働させた家庭は、「第3段階料金」の欄に驚いたはずだ。そこに厳然たる電力の国家支配の仕組みが隠されている。

 日本の電力料金は、企業向け(事業用)は大口ほど安くなるのに、家庭向けは逆に、使用量が増えるほど3段階で単価が高くなるように設定されている。多く買うほど高いという経済原則に反する料金体系であり、だから猛暑や厳冬になると家庭の電気代がハネ上がる。

 電力会社はそれを利用して、「オール電化」キャンペーンなどで家庭にどんどん電力を使わせ、利益を吸い上げてきた。

 東京電力の場合、電力の3分の2は事業用に供給し、家庭向けは3分の1にすぎない。ところが、営業利益の9割以上を家庭向けの電力料金で稼いできたのである(震災前5年間の実績)。電力会社の利益構造はこれまで隠され、原発事故後に初めて明らかになった。

 家庭向け料金は電力会社の一存ではなく、監督官庁の経済産業大臣の認可で決められる。政官業一体で国民収奪の料金体系を作ってきた罪からは誰も逃れられない。

 一方、企業向けの電力料金は平均すると家庭向けのざっと半額だが、こちらは電力会社と企業の個別契約で決まる。ここでも小口の中小企業は高く、大口需要家の大企業は割引がある。つまり弱い者イジメだ。

※週刊ポスト2012年3月30日号

関連キーワード

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン