国内

木嶋佳苗の裁判 傍聴席の至る所から「ブス」の声聞こえてくる

木嶋裁判すべて傍聴の北原みのりさん

「21世紀の最大の毒婦」「婚活詐欺師」——出会い系サイトで知り合った男性三人を殺したなど容疑で、先ごろ検察に死刑を求刑された木嶋佳苗被告(37歳)には、さまざまなレッテルが貼られている。しかし本当のところはどうなのか。30回以上に及ぶ全ての裁判を傍聴している、文筆家で女性用アダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表の北原みのり氏に「私が見た佳苗」について聞いた。(聞き手=ノンフィクションライター・神田憲行)

 * * *

——3月12日に被告に死刑が求刑されてこの裁判も山場を迎えたわけなんですが、ずっと長く見ていらして、裁判の雰囲気に変化はありましたか。

北原:傍聴券を求める人がひと頃の三倍くらいには増えた感じがします。男性だと、佳苗被告を見て「やっぱりブスだ」「スゲえブスブス」とか、傍聴席の至る所から「ブス」という声が聞こえてくる。

 女性でも佳苗被告と同世代ほど、辛く当たる。傍聴席から指さして「なにあのブス」という人もいましたし、休廷中に佳苗の服装をあげつらって「ダサイ」と罵っていた人もいました。

——その人たちはなぜわざわざ見に行くんでしょうね。

北原:わからない。行かないと心が穏やかでいられないんでしょうね。聞いた話だと佳苗と同世代のある女性は風俗で働いていて、しかも美人なのに佳苗のように稼げなかった。ブスなのに自分より稼ぐことが許せないとか。自分と佳苗を比べてしまう人ほど、佳苗を憎むんだな。そういう意味では佳苗は鏡のような存在かもしれない。

——でも、被告の美人とは言い難い容姿で、次々と男性から貢がせたというのはこの事件の謎の一つです。

北原:うーん、あたしは佳苗がブスに見えないんですよ。

——えっそうなんですか?

北原:写真写りは悪すぎるんですが、実際に雰囲気は上品だし仕草も優雅で、感じが良い人なんですよ。出・退廷で女性刑務官が手錠を掛けるとき、佳苗はニッコリ笑いながら両手首を合わせをながら差し出すんですよ。そのときの表情がなんとも優しい。しかも声が甘い。全てがあえぎ声に聞こえるぐらいに甘い(笑)。

 佳苗被告は男性とのやりとりもメールと電話でした。あの声で電話が掛かってきたら、男性は想像を膨らませるのは仕方ないですよ。会うまで三日間ぐらいの間で10通ぐらいメールしていた男性がいましたが、文面からすごく盛り上がっているのがわかった。会ったときにはもう、佳苗の容姿は5割り増しに見えたでしょうね。

——死刑を求刑されて、佳苗被告の様子に変化はありましたか。

北原:一貫して無罪を主張しているので、さすがに最終弁論で裁判官に向かって立つ彼女から泣き声が聞こえてきました。でもくるりと私たち傍聴席に向いたときには、泣いた跡が無いんですよね。「いやあなた、泣いてないでしょ」とあたしは思いました。

 無罪を主張しているから、三人の死んだ男性への謝罪の言葉は無くても当然としても、お金をもらっていたのだから何か言葉があった方が心証もよくなるのに、それも無い。佳苗はただ、男性からお金を貰う代わりに優しさや性的なことを「交換」していただけなんだって、本当にわかりました。

(第二回に続く)

関連キーワード

関連記事

トピックス

遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン
当時のスイカ頭とテンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《“テンテン”のイメージが強すぎて…》キョンシー映画『幽幻道士』で一世風靡した天才子役の苦悩、女優復帰に立ちはだかった“かつての自分”と決別した理由「テンテン改名に未練はありません」
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
1970~1990年代にかけてワイドショーで活躍した東海林さんは、御年90歳
《主人じゃなかったら“リポーターの東海林のり子”はいなかった》7年前に看取った夫「定年後に患ったアルコール依存症の闘病生活」子どものお弁当作りや家事を支えてくれて
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン