「地球の地べたの種類は3つ。氷の世界か、砂の世界か、雨が降る世界です。そして、雨が降る世界にはかならず川があって、それがジグソーパズルのようにはりめぐらされている。その流域に人々の生活があるんです。
水害や汚染を防止するための最適解を探そうとするとき、実は、国や行政の単位ではなく、流域の単位で考えることが大事なんだと、そんなことに気づいてもらえたらうれしいですね」と、この活動の意義を話すのは、この日のアドバイザーを務めた、慶應義塾大学教授で鶴見川流域ネットワーキング代表の岸由二氏。
約50人の参加者には家族連れをはじめ、20代や30代の若者の姿が目立つ。話を聞いてみると、これまでこういったイベントへの参加経験がない人も、FacebookやTwitterなどをきっかけに「なんだか、おもしろそう」と参加する人が多いようだ。
プログラムは4つのグループに分かれて進行。ランチタイムのミーティングでは、めいめいが「私の川」について語り合い、初対面の人たちもどんどん仲良くなっていく。ウォーキングでは時おり雨にも降られたが、自然の中を歩いていると案外気にならない。ゴール地点の綱島河川敷でのクリーンアップ作業では、みな競いあうようにゴミを拾っていた。
「トラッシュピッキングと名づけて、これまでにも清掃イベントを行っていますが、こうした活動は有料でも人が集まるくらい人気なんです」(前出・岸氏)
有料でも人気というタイプのイベントだが、この「アクアソーシャルフェス」の参加料は無料である。実際に5時間かけて約12kmを歩いた参加者たちはみな、一様に楽しそうな笑顔を見せていた。