国内

公的支払い拒否する28歳主婦 督促状の封筒を開けてもいない

 生活に困窮し、税金や保険料を払えない人に紛れて、支払い能力があるのに「払わない人々」が増えている。「払わない人々」は督促を受けて焦ったりはしないのか。新宿の喫茶店でインタビューに応じた専業主婦の村田香織さん(仮名・28歳)は、その質問にケラケラと明るく笑った。

「払わないでもどうにかなるんじゃないのかなって思いが一番大きいかな。いろんなところから督促状が送られてくるけど、最近じゃ封筒を開けてもいないですから。まあなんとかなるんじゃないですか?」

 香織さんは鳶職の夫、1歳と3歳の息子とともに東京郊外のマンションに住んでいる。母親に子供を預けて週4日、友人が経営している雑貨店でパートをしており、夫の収入と合わせると月収は30万~40万円。普通に生活していくのなら、なんら問題ないが、多くの支払いを滞納している。

「埼玉から引っ越してきたんですけど、子持ち家庭が大きなマンションに引っ越す時には、住宅支援や子育て支援で市がおカネを貸してくれるんですよね。旦那が建築系の仕事なんで、そういうのに詳しくていろいろ借りてきたんです。全部で200万ぐらいになると思うんですけど、今まで1円も返してないですよ。だからたくさん(督促状が)来るんです」

 ほかにもスピード違反などの反則金も一切無視しているという。「大宮簡易裁判所支払督促係」と記された未開封の封筒をどっさりと並べて、あっけらかんとしている香織さんに、そんなに生活が苦しい理由を問うと、こんな答えが返ってきた。

「やっぱり旦那の仕事が建築関係なんで、リーマンショックですごく給料が減ったんですよ。前は月100万持ってくることもあったのに、半分以下ですもん。あと、車のローンとか改造費がかなりかかる。旦那がすごく好きで、稼ぎが良かった時にレクサスのすごくいいやつを新車で買って1000万円。それからいろいろいじって(改造して)、1000万以上はかかっている」

 そんなにいい車なら、売ってしまって公的ローンや保険料などの支払いにあてたらというと、香織さんはぶんぶんと首を振った。

「旦那が車だけは絶対に売らないって言い張っているんですよ。まあたしかに、いま住んでいるところは、子供も小さいから車がないと不便だし。でも、友達とか周りをみても、結構、税金とか年金とか払ってないですよ」

 市からの督促状は踏み倒し、生活が苦しいといいながら2000万円かけた高級車に乗る。

 ほかに欲しいものや、ゆずれないものが山ほどあるのでどうしても公的サービスは後回しになり、できれば払いたくないという結論になるという。人として、社会人として何が優先か、何がゆずれないことか、完全に尺度が壊れている。

※週刊ポスト2012年4月20日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン