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孤独死 “悲惨”と決めつけるは亡くなった人に失礼との指摘

 東京都の調査では、1世帯当たりの平均人数が1.99人となり、過去最少を更新(今年1月1日現在)。総人口に占める65才以上の人口の割合は20.76%で、こちらも過去最高を更新した。家族に囲まれて看取られることなく、ひとりで死ぬことは、いまや普通のことになりつつある。

「2030年には単身世帯が約40%を占め、ひとりで息を引き取るほうがスタンダードになる時代が来ます」

 そう力説するのは、著書に『孤独死の作法』(ベスト新書)のある葬儀相談員の市川愛さんだ。以前から、メディアが孤独死を無縁の証であり、悲惨で寂しいことだと伝えることに違和感を覚えていたという。

「自分から周りの縁を切って孤立されたかたももちろんいらっしゃいます。でも、ひとりで亡くなったというだけで、悲惨だと決めつけるのは逆に失礼じゃないかと思うんです」(市川さん・以下同)

 そこで市川さんは、遺された人たちに後悔などを与えず、ひとりで満足して死を迎える“ステキな孤独死”をすすめる。

「自分が亡くなった後について、漠然とした不安はあっても、どうしたらいいかわからない人が多いんです。おすすめなのは、エンディングノートを書いてみることです。

 市販のノートで構わないので、自分の基本情報や家族や友人への感謝の言葉、死後どうしてほしいかなどを自由に書いてみてください」

 エンディングノートを書き進めるコツは、「全部埋めなくてもいい」「自由にわがままに書く」「書き直す前提で書く」ことだという。また、このエンディングノートは、遺された家族にとっても重要な指針となる。

「エンディングノートを遺されたかたの葬儀に立ち会ったことがありますが、故人の要望をあれもこれも叶えよう、ということで、打ち合わせがとても温かい雰囲気でした」

 特に女性の場合、市川さんは遺影写真の準備もすすめる。

「はっきり写ったものを優先すると、そのかたの雰囲気と違ったものになりがち。直近の写真でなくてもいいので、自分がこういうイメージで思っていてほしい、というものを数枚選んでおけば、家族も助かりますよ」

 そして、死を迎える前に準備することは、ノンフィクション作家の松原惇子さんの意見と同じく、“いきいき生きる”ことだと市川さんもいう。

「いいお葬式というのは、その人の人生が充実したものだったときにできるものです。自分がにこにこする瞬間を増やすことが、いきいきすることにつながり、やがていい死に方へと結びつくんです」

※女性セブン2012年4月19日号

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