国内

橋下氏ならば「公務員改革で約5兆円無駄削減」と専門家推測

 タバコ1本で懲戒免職。この橋下徹市長による“厳罰”が、話題を呼んでいる。大阪市営地下鉄の駅長室で喫煙し、火災報知器を鳴らして列車を遅らせたとして、駅助役を免職にする考えを示したものだ。さすがにタバコ1本での免職は例がないが、「相当、緊張感がない。裁判闘争も辞さず」とする橋下氏。

 役人との対決姿勢を明確にしている氏が首相になったら、国家公務員56万人の運命やいかに? かつて勤務先の特殊法人の公金浪費などの実態を内部告発し、その経験から公務員や天下り法人の問題を追及し続けているジャーナリストの若林亜紀氏が分析した。

 * * *
 公務員改革については、橋下氏は実行できる改革方針を選択する“リアリスト”であるということです。大阪府知事時代に行なった府職員の給与カットについても、組合の代表者と徹夜で話し合って承諾を取りつけました。よく言われるような「独裁」などではなく、相手がギリギリで呑まざるを得ないような現実的な改革を突きつけて、説得するそれが彼の実像です。

 そんな彼が首相になったら、大阪のケースと同様、まず天下り団体への補助金カットを断行するはずです。

 国は特殊法人や独立行政法人などに事業の発注や補助金交付などで年間12兆6000億円を支出していたことが、すでに明らかになっています。これらの団体は、国家公務員の再就職先となっており、12.6兆円の多くは彼らが発注するムダで高額な公共投資に化け、天下り役職員の高給、数年の勤務で2000万~3000万円以上という法外な退職金へと消えています。

 これまでの実績から考えれば、橋下氏はこの12.6兆円を3~4割カットする可能性があります。額にして約4兆~5兆円の削減。やはり全額カット、全員クビではないところが肝です。一見、生ぬるいように見えるかもしれませんが、5兆円となれば消費税2%分。かなりの成果です。

 仮に全額カットをゴリ押しすれば、改革自体が頓挫しかねず、公務員のサボタージュを招きかねません。ただし、橋下氏のやり方がうまいのは、最初は「補助金全額カットも視野に入れる」「天下りした人は覚悟してほしい」などとぶち上げること。そうしておいて、3~4割カットに落とし所を持ってくれば、相手も受け入れざるを得なくなる。一方、「5兆円削減」という大きな成果があれば、国民からもコンセンサスを得られるというわけです。

※SAPIO2012年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
東条英機・陸軍大将(時事通信フォト)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最低の軍人」ランキング ワースト1位はインパール作戦を強行した牟田口廉也・陸軍中将 東条英機・陸軍大将が2位に
週刊ポスト
昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン