国際情報

英メディアが比較 「野田はドジョウ」「橋下は観賞用の鯉」

 海外メディアが首相以外の日本の政治家の詳しい言動や、具体的な“人となり”に注目することは稀だ。まして地方自治体の首長レベルとなると、ほとんど取り上げられることはない。しかし橋下徹・大阪市長については、昨秋の大阪ダブル選挙での圧勝以降、日本の社会現象の一つとして詳報している事例がある。世界がどう報じているか、欧州の場合を紹介しよう。

 * * *
 欧米のメディアで、比較的目についたのは、野田佳彦首相と橋下市長との比較考察だ。

 たとえば、英エコノミスト誌(2012年1月28日号)は、両者が拳を上げて睨み合うイラストを載せ、「日本の政治展望/世代間戦争」という記事を掲載している。日本の経済危機を救おうとしている政治家として野田・橋下両氏の経歴を紹介した上で、両者を比べ、

「橋下氏の戦術は、独裁というよりも、むしろ決断力というほうが近い。まず短期的に明確な政治目標がある。無駄な行政サービスを削減し、借金を減らすために大阪市と府を統合しようと考えている」「今のところだが、橋下氏は日本の政治を活性化させており、それ自体は良いことだ」

 英フィナンシャル・タイムズ紙もアナリストのピーター・タスカ氏の分析記事で、日本経済の低迷ぶりを解説した後、橋下氏に好意的な見解を載せている(12年2月12日付)。

「大きな変化をもたらしそうな政治家が登場した。若くて独立心に溢れた大阪市長の橋下徹氏は、激しやすく、野心と大きな構想を持っている」

「野田首相が自身を泥の中のドジョウになぞらえたのに対し、橋下氏は観賞用の鯉(錦鯉)と同じくらい派手だ。元弁護士で、テレビの売れっ子タレントだった彼は7人の子供を持ち、少子化対策をしている日本では稀な存在だ」

「メディアは“ハシズム”と命名して、警戒のアラームをセットした。しかし、橋下氏は(フランスの極右政治家)ルペンではない。日本は地方分権の必要に迫られており、景気浮揚策はなお必要だ。橋下氏が緊縮政策を排除するように拍車をかければ、健全な結果となるだろう」

 こうした見方について、欧州在住ジャーナリストはこう解説する。

「ヨーロッパ人は概して、橋下氏のような若く明快な人物を好意的に見る傾向があります。もちろん、橋下政治に否定的な見方をする日本通もいますが、橋下氏についての論評自体が少ないため、目立たないようです」

※SAPIO2012年5月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン