ライフ

冷凍まぐろ 50℃の湯に7分浸けただけで生臭みが消える効果

鮭の切り身(上)を50℃の湯で洗うと生臭さ消えた(下)

 しなびた野菜を50℃の湯で洗うと、途端に鮮度が蘇る――。驚きの効果を発見したのは、蒸気技術工学の専門家で、スチーミング調理技術研究会代表の平山一政氏(75)だ。この効果は食品全般に共通するといい、実際に固い肉も50℃の湯で洗うことでジューシーに変化した。

 では魚介類の場合はどうか、検証した。魚も肉と同じように、身に含まれている脂肪酸が空気に触れて酸化が始まり、臭みの原因となる。だが、これも「50℃洗い」で解消することが可能だ。酸化物と一緒に雑味や汚れも落ちるため、驚くほど旨みを増す。

 鮭の切り身は皮目の脂を落とすように洗った。表面は白くなったが、時間が経つと色が戻り、洗った後の湯には脂や汚れが浮かぶ。洗わないまま調理していたら、この脂や汚れを食べることになっていたわけだ。

 冷凍まぐろのサクは生の場合より時間をかける。50℃の湯につけること7分。氷でしめて水気を拭き取って食べると、身は柔らかくしっとり。生臭みも消えていた。通常、常温解凍ではドリップの赤い液体が出て旨みが流れ出てしまうが、「50℃洗い」をすると解凍したとは思えない、まろやかさ。生まぐろのサクの場合は、30秒ほどくぐらせるのが良い。

 あさりは湯につけるとみるみる口を開き、身が殻から飛び出すほど膨らむ。調理して、ふっくらした肉厚の身を食べることができた。貝類は塩水に2~3時間つけて砂抜きするのが一般的だが、「50℃洗い」なら短時間で砂抜きもできる。

「特に効果的なのは魚のアラです。アクや臭みが取れて、本来の旨みが引き出されます。ぶり大根など作るときはぜひ試してほしい。『50℃洗い』は研究・応用が始まったばかりで、まだ広く知れ渡っていませんが、一度試すと効果を実感できる。多くの人に毎日の食卓に活かしてもらいたいと思います」(平山氏)

撮影■太田真三

※週刊ポスト2012年5月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン