国際情報

失脚した薄熙来氏の不正蓄財4800億円 息子の豪遊写真が流出

 独裁国家の中国ではなぜかくも熾烈な権力闘争が展開されるのか? その背景には、法治なき共産党支配が生む“不正蓄財文化”がある。中国国内事情に詳しいジャーナリストの相馬勝氏が報告する。

 * * *
「薄熙来はまさに紅い皇帝だった。共産党一党独裁体制の中国では、地方の党最高幹部は、その地方の皇帝なのだ」

 こう語るのは、重慶市トップや党政治局員などの職務を突然解任された薄熙来氏(62歳)をよく知る中国人ジャーナリストだ。取材を通じて、薄氏の人柄や生活など「プライベートな面も見てきた」という。薄氏の重慶の自宅の様子を次のように描写する。

「重慶市街を見下ろす小高い丘の上に屋敷があり、鬱蒼とした竹林に囲まれていた。広々としたホールで待たされていると、召使いのような男性が現われ『こちらへ』と案内された。部屋がいくつもある、まさに『王様の邸宅』といった豪華な作りで、廊下にはところどころに古い絵画が飾られていた。

 建物は1棟だけでなく、棟続きにつながっている次の建物に入ると、すべてが竹作りで、見る者すべてを威圧するような、歴史を感じさせる応接間があり、そこに薄熙来が待っていた」

 薄氏は古都・重慶を代表する豪邸を自宅として使っていたのだろうが、ここは1945年8月、日本軍が降伏後、毛沢東と蒋介石が中国共産党と国民党による国共合作を話し合った歴史的建造物でもある。まさに重慶の“皇帝”にふさわしい居宅といえる。

 薄氏が“紅い皇帝”であることを思わせるのは自宅ばかりではない。不正蓄財の額もまさに桁外れだ。当初、米ブルームバーグ通信が約110億円と伝えたものの、その後、香港メディアなどによって約1000億円、そして4800億円に膨れ上がった。

 また、薄氏が重慶市トップとなって、全国的にその名を広めたのが「打黒」と呼ばれるマフィア撲滅運動だが、市当局がマフィアとつながっていたとして逮捕された経営者から没収した資産は1000億元(約1兆3000億円)を下らない。

 それらが薄氏の推進した市の緑化事業や低所得者向け住宅建設計画などの原資になったとみられるが、一部は薄氏の個人的な不正蓄財に回されたことも否定できない。

 その使い道の一つの象徴が、薄氏の息子、薄瓜瓜氏(24歳)の海外豪遊生活だろう。同氏は英オックスフォード大学を卒業後、米ハーバード大学ケネディスクール(大学院修士課程)に進んでいるが、豪華マンションに居住し、高級車を乗り回していた(ポルシェとフェラーリが報じられたところ、「フェラーリには乗っていない」と本人が否定。ポルシェには乗っていたわけだ)。ネット上では、酔った瓜瓜氏が白人女性たちと戯れる写真までが暴露された。

 これらの膨大な費用が不正蓄財から賄われたことはほぼ間違いない。なぜなら、党機関紙「人民日報」によると、薄氏の月給は公式には1万元(約13万円)だからだ。

※SAPIO2012年6月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン