国際情報

落合信彦氏 米大統領選で最高の名勝負はケネディvsニクソン

 今年の秋、超大国・アメリカの国家元首を決める米大統領選挙が行なわれる。これまでも数々の激しい選挙戦が繰り広げられてきたが、落合信彦氏がその中でも名勝負というにふさわし戦いを振り返る。

 * * *
 ジョン・F・ケネディがリチャード・ニクソンを破った1960年の選挙戦は史上最高の名勝負だったと言える。得票率の差はわずか0.1%だった。

 副大統領として既に全米的な知名度を誇ったニクソンにケネディが挑む選挙戦に“upset(大逆転)”をもたらしたのは米大統領選史上初めて行なわれた「TVディベート」だった。

 2人の身だしなみは対照的だった。ニクソンがグレーホワイトのスーツ、対するケネディはスタジオ到着後、周囲を見回して、側近の一人に大至急ホテルに戻ってブルーのスーツを持ってくるよう指示した。ニクソンの姿は白黒テレビの画面では背景の壁に溶け込んでしまい、その顔には病気上がりであることがはっきりと見えた。

 それに比べて前日まで太陽が燦々と光るカリフォルニアでキャンペーンをしていたケネディの顔は日焼けし、精悍で見事なまでにくっきりと浮かび上がった。視聴者の心を掴んだのがケネディであることは言うまでもない。

 1960年の選挙のドラマティックな展開については何度も解説してきたが、私がこの選挙戦を「名勝負」とするのは、接戦だったにもかかわらず、ケネディとニクソンが相手へのネガティブな攻撃をほとんどしなかったからである。正々堂々としたディベートと政策で2人は勝負していた。

※SAPIO2012年6月6日号

関連キーワード

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン