国際情報

中国の高校 1クラスの3分の1超が点滴しながら授業受ける

 中国の大学入試(高考)は6月。受験生たちは今まさにラストスパートを迎えているところだが、過酷な受験戦争を勝ち抜くために、なんと授業中に点滴を打ってまで勉強に励む高校生が続出しているという。中国の内情に詳しい田代尚機氏(TS・チャイナ・リサーチ代表)のレポートだ。

 * * *
 中国の高校の授業風景はちょっとどころか、かなり変わっている。湖北省のある高校では、天井からは点滴がぶら下がり、まるで病院のようだが、何も生徒たちは病気というわけではない。6月に大学入試を控え、受験シーズンの真っただ中にいる高校3年生が、あまりにも過酷な受験勉強の疲れをとるために点滴を打ちながら授業を受けているのだ。

 しかも、その数は1人や2人ではない。1クラス50~60人のうち20人以上の学生が点滴の管を挿して授業に臨んでいるケースもあるという。

 きっかけは、数年前に授業を抜けて病院に行って点滴を打つ生徒が現われたことだった。1瓶500ccで打ち終わるまでに30分かかってしまう。しばらくすると、病院に行く時間がもったいないので学校の医務室で打たせてほしいという親が現われた。やがて、点滴を希望する生徒の数がどんどん増えていき、とても医務室では対応しきれなくなり、教室で点滴を打つようになったそうだ。

 点滴の中身はアミノ酸で、危篤患者や救急患者など栄養不良の患者のためのもの。医師が事前に安全を確かめたうえで行なっているというが、ある医師はこう指摘している。

「健康な者がアミノ酸を点滴すれば、タンパク質摂取が過多となり、肝臓や腎臓に負担がかかる。百害あって一利なし。しかも点滴には副作用がある。悪寒、発熱、ひどい場合には吐き気などを引き起こす。特に夏場は副作用が大きい」

 ところが、学校側は「別に悪いことはない。一種のプラシーボ(偽薬)効果がある。試験前の学生は緊張が極限状態となっている。点滴を打つことで『これで疲れが取れたぞ』という気持ちが湧いてきて、一種の安心感を作り出す」などと医師らの忠告を無視しているという。

 ちなみに、点滴は1本10元(約125円)で学校側が用意しているが、実際には40~50元かかるため、足らない分は学校が補填しているという。むしろ補填などするから、打たなければ損だと考える学生も現われて、点滴を打つ学生の数が増えたといった面もあるようだ。

 しかも、その負担は国家規定に基づいていると学校側は説明するが、地元の教育庁では「そんな話は聞いたことがない」とも。今後、学校側の費用請求の仕方を巡って問題になる可能性もあるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン