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名古屋ラーメン 極太・極長30本入りでメンマ消費量日本一?

名古屋ラーメンの極太・極長メンマ

 日本の中で独特の食文化を金のしゃちほこのように誇る名古屋。味噌カツ、天むす、手羽先の唐揚げ……しかしラーメンは? 名古屋に地元ラーメンはあるのか? あるのだ! しかも独自の松竹梅システムも存在した。食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏が、驚愕の名古屋ラーメンをレポートする。

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 名古屋の「食」と言えば、手羽先の唐揚げ、ひつまぶし、天むす、味噌カツなど、明らかに他の地方と一線を画した独自色の強いものが、話題になることが多い。麺類も然り。きしめんという全国でも希少な平打ち麺があり、味噌煮込みうどんという独自の進化を遂げた煮込み麺料理もある。

 実際、こうした特徴のある麺類がメジャーだったからこそ、名古屋には「名古屋ラーメンがない」とも言われる。だが、名古屋は中京圏の出身者誰もが懐かしむ「スガキヤ」ラーメンの総本山。また、“台湾ラーメン”と言われる、炒めたひき肉とニラを具とした辛いスープのラーメンも名古屋のご当地ラーメンとして知られている。さらにもうひとつ、名古屋には“好来系”と言われるラーメンがある。

 1959年創業の「好来」をその祖とし、“インスパイア系”も含め、現在その遺伝子を組む店舗は約20を数えるという。枝分かれが進んだ現在では、独自の味わいを見せる店も多いが、そもそもは「薬膳系」とも言われる際だった特徴を備えていた。その象徴が卓上に置かれた「朝鮮人参酢」「高麗人参酢」と言われる酢である。

 スープの味自体は、豚骨や鶏ガラ、野菜などを使った濃すぎず、薄すぎずという万人向けのやさしいスープだ。それ故、途中でコショウやガーリックパウダー、自家製ラー油などを加えて、味の変化を楽しむ人も多いが、ここまでは薬膳感はほとんどない。〆に、前出の朝鮮人参酢を加えたところで、一気に薬膳感が丼から漂ってくる。あっさり系のラーメンが好みなら、途中の強い調味料を飛ばして「酢」の変化を楽しむだけでも十分かもしれない。

 そして直系店における、もうひとつの大きな特徴が、「松」「竹」「寿」などめでたい香りが漂う品書きだ。松はチャーシューとメンマが普通に入ったラーメン、「竹」はメンマ多め、「寿」はチャーシュー多めを指している。チャーシューは東京・千駄ヶ谷ホープ軒にも似たバラ肉ロールの煮込み系で、口に運ぶとほろりと崩れる。「寿」ではそのチャーシューがえりまきのように、丼の回りをグルリと敷き詰められている。

 だが何よりの衝撃は「竹」だ。好来系のメンマは太さ約1cm四方、長さも6~10cm程度はある、しっかりしたものが多い。歯ごたえが適度に残る程度に煮込まれた、その極太メンマが「竹」には、約20~30本、店舗によってはそれ以上の数が投入されている。麺の上に数枚のチャーシューが載り、さらにドッサリとメンマが載せられ、肉眼ではまったく麺が確認できない。太めのしっかりした麺なので、そう簡単には麺がのびるわけではないが、人によっては麺にたどり着く前に、メンマだけで満腹になりかねない。

 そういえば、名古屋人のソウルフードとしても挙げられる、前出のスガキヤのラーメンもメンマの存在感が強く、その味も地元では高い評価を得ているという。もし「市民1人あたりのメンマ消費量」調査があれば、名古屋は日本一になるのではないか。そう思えるほどの量だった。もっとも、国内のラーメンで使われるほとんどのメンマは中国・台湾産ということもあり、全国的な消費量調査は難しいかもしれないが。

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