ライフ

食通漫画家 ポテトサラダにミカン・リンゴ入ること「論外」

『酒のほそ道』『う』などで知られるグルメ漫画家・ラズウェル細木氏は、居酒屋のポテトサラダをこよなく愛する人物だ。理想のポテトサラダとはどんなものか。同氏がポテトサラダにモノ申した。

 * * *
 居酒屋の壁がお品書きの紙で埋め尽くされていると、それだけでもうワクワクしてしまうんですよね。そんな中にポテトサラダがあると、無性に頼みたくなる。

 定番で何気ない。それでいて居酒屋ならではの“雰囲気”を持ったつまみ──それが、ポテトサラダだと、僕は思うんです。

 ひとくちにポテトサラダといっても、色々あります。これが冷や奴なんかだったら分類のしようもないけれど、人それぞれに好みがあって、「俺の好きなポテトサラダ」談義ができる。しかも、結構盛り上がったりする(笑い)。

 どこにでもあるけれど、具材のチョイスや味付けからして個性がはっきりとわかれる。その店の傾向なり、センスなりが、おのずと出てしまうんですよね。ポテトサラダで、その居酒屋の全てを判断できる。そんなつまみ、他にありません。僕がいちばんこだわっているのは、主役のじゃがいも。といっても男爵薯がいい、メークインがいい、といった種類じゃない。譲れないのは、芋の潰しかたです。

 ポテトサラダを名乗る以上はじゃがいもをしっかり潰してほしいんですよね。この頃のおしゃれ系居酒屋では、潰さずにゴロゴロしたまま入れている場合があるんですが、僕はあれが許せない。ガッカリを通り越して憤りすら覚える(笑い)。

 だって男がなぜポテトサラダを必ず頼むかって、あのねっとりした舌触りと、濃厚な芋の甘みを味わいたいからでしょう。じゃがいもに絡んだマヨネーズの豊かなコクが口いっぱいに広がって、コショウの香りがほのかに鼻に抜ける。舌に残る甘みとふくよかな余韻が、日本酒と実に良く合うんですよねぇ。もちろん、ビールやハイボールとも相性は抜群!

 芋をなめらかに潰しておかないと、マヨネーズやコショウともよく絡まないんです。ゴロついた芋では、酒を飲む愉しみも半減するってもんです。

 思うに、居酒屋のつまみに変化球は必要ないんですよ。心をこめて作られたオーソドックスなつまみが、しみじみ旨い。

 僕が愛するのはどこか懐かしくて、ホッとするような“昭和のポテトサラダ”です。男のつまみたるもの、素朴であるべき。

 個人的にはキュウリさえ入っていれば十分ですね。あのシャクシャク感だけは、ないとどうにもさみしい。居酒屋っぽいピンク色のハムは入ってていいな。適度な塩気で酒が進みます。

 みかんやりんごは論外でしょう。酒のつまみに果物を入れてどうする。おとといきやがれ、てな感じです。あとはせいぜいニンジンとタマネギくらいかな。でも正統派の具材に思えるキュウリやタマネギでも、イヤだって人は案外いるんですよね。それくらい好みが細分化されて、意見がわかれる。

●取材・構成/渡部美也

※週刊ポスト2012年6月29日号

関連キーワード

トピックス

亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン
アスレジャー姿で飛行機に乗る際に咎められたそう(サラ・ブレイク・チークさんのXより)
《大きな胸でアスレジャーは禁止なの?》モデルも苦言…飛行機内での“不適切な服装”めぐり物議、米・運輸長官がドレスコードに注意喚起「パジャマの着用はやめないか」
NEWSポストセブン
(左から)小林夢果、川崎春花、阿部未悠(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫の余波》女子ゴルフ「シード権」の顔ぶれが激変も川崎春花がシード落ち…ベテランプロは「この1年は禊ということになるのでしょう」
NEWSポストセブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
大東さんが掃除をしていた王将本社ビル前の様子(写真/時事通信フォト
《「餃子の王将」社長射殺事件の初公判》無罪主張の田中幸雄被告は「大きなシノギもなかった」「陽気な性格」というエピソードも…「“決して”犯人ではありません」今後は黙秘貫くか
NEWSポストセブン
小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン