両眼性無眼球症。本来なら妊娠初期に形成されるはずの眼球が、何らかの理由により充分に発達しない障がいのことだ。眼球が小さい場合には、「小眼球症」と診断される。千璃ちゃんの場合は「眼球らしきものがある」とわかる程度の小ささだったため、「無眼球」とされたのだった。

 日本では、「無眼球症」を含む「小眼球症」の症例は約1万人に1人といわれ、851例が報告されている(平成21年度、厚生労働省調べ)。そのほとんどのケースで、主たる原因は不明という。

 そのうえ千璃ちゃんには、額から鼻にかけての一見してわかる形成的な奇形があり、さらには心臓の一部に小さな穴が開いている心疾患も見つかった。医師も「至極稀な症例」という見解だった。

「心疾患は命に直結する障がいです。ただ、幸いにも心疾患は重いものではなかったこと、そしてアメリカでは形成外科的な問題に対して、なるべく自然に近い形に治療していくことが、本人と家族のメンタルな健康につながるという考え方が尊重されている、という医師のアドバイスもあり、まず眼の治療を優先させることになりました」

※女性セブン2012年7月5日号

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