「チョー気持ちいい」「何もいえねえ」に続く、3度目の決めゼリフはもう考えているのだろうか。水泳男子平泳ぎの五輪代表・北島康介(29)には、平泳ぎ100m・200mの両種目で3連覇の期待がかかっている。日本人選手で3大会連続の金メダルを獲得したのは柔道の野村忠宏(37)のみ。これが2種目同時となれば、前人未踏だ。
ちなみに五輪4連覇となると、世界でも陸上円盤投げのアルフレッド・オーター(アメリカ)と陸上走り幅跳びのカール・ルイス(アメリカ)しかいない。スポーツライターの折山淑美氏は、快挙の可能性は非常に高いと分析する。
「100mでは記録的にライバルは不在。200mには立石諒(23)、ダニエル・ギュルタ(23・ハンガリー)らがいますが、北島が前半に飛ばして逃げ切るのではと見ています」
もし、北島に不安要素があるとすればモチベーションだろう。最大のライバルと目されていたダーレ・オーエン(ノルウェー)が4月末に高地トレーニング中に死亡。北島が受けたショックは小さくなかった。
「オーエンがいなかったからロンドンで勝てたといわれることが北島には許せない。だから昨年の世界選手権でオーエンが出した58秒71(100m)よりもいいタイムで勝つ。そう考えることでモチベーションを保っている。キック力や腕のかきなどを強める従来の練習から、体幹を鍛えるトレーニングに切り替えたことも好調を保っている要因です」(前出・折山氏)
※週刊ポスト2012年7月20・27日号