ライフ

成長を遅らせることで高度な脳機能をより発達させるとの分析

 親にとって気になる子供の成長。しかし、人類進化や脳科学からみれば成長速度が早ければいいというものでもないという。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之氏が、脳の成長をテーマに解説する。

 * * *
 子供の成長の早さは、どんな親にとっても気になるものです。小児科学や発達心理学でも「成長の目安」があり、最初に歩く年齢(月齢)や最初に言葉を発する年齢(月齢)などがタイムテーブル化されています。そして、このタイムテーブルよりも発達が遅いと、「問題があるかもしれない」と考えられる場合があります。

 ですが実は、人類進化や脳科学からみれば「子供の成長は、早ければいい!」というワケではありません。そもそも、人類の成長速度は遅くなる方向に進化してきたのです。人類に近縁な化石人類・ネアンデルタールと比べても、現生人類の成長速度は遅くなっています。

 ネアンデルタールと現生人類の遺伝子の違いはわずか0.5%でしかありませんが、成長速度は、彼らのほうが私たち現生人類よりも1.5倍も早かったというデータがあります。

 また、彼らは言葉や芸術(絵画)を駆使し、道具も使用していたため、かなり知能が高かったといえます。ところが、彼らは2万~3万年前に絶滅してしまいました。ネアンデルタールよりも学習能力や知能が高かった現生人類に、生存競争で負けてしまったのです。

 この観点からみると、現生人類においても、むしろ成長速度が遅いほうがより優れた能力を発揮するようになるという推論が成り立ちます。脳レベルでも、進化的に新しくて高度な働きをする脳領域(特に前頭前野、後部頭頂野、側頭野)の成長は遅いことがわかっています。前頭前野が成熟するのは25才ごろです。つまり、現生人類は、成長を遅くさせることで高度な脳機能をより発達させるように進化してきたといえるのです。

※女性セブン2012年8月2日号

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン