国内

マッキンゼー出身者が優秀な理由「そうなりそうな人を採用」

 ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の南場智子氏、経済評論家の勝間和代氏、京都大学客員准教授の瀧本哲史氏など、経営コンサルティング会社・マッキンゼー出身者の活躍が目覚ましい。なぜマッキンゼー出身者は成功・活躍するのか。その理由を自身もマッキンゼー出身の大前研一氏が解説する。

 * * *
 私の古巣であるマッキンゼーは、ビジネス界で活躍する人物を輩出し続ける企業、といわれる。

 たとえば、ネットサービス会社ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の南場智子氏、医療情報専門サイトm3.comなどを運営するエムスリー創業者の谷村格氏、食材宅配のオイシックス(Oisix)創業者の高島宏平氏、著書がベストセラーで経済評論家の勝間和代氏、エンジェル投資家で京都大学客員准教授の瀧本哲史氏……たしかに「石を投げたらマッキンゼー出身者に当たる」といっても過言ではないだろう。しかも、これは日本だけの現象ではなく、欧米をはじめ世界共通の現象である。

 なぜ、マッキンゼーから優秀な人材が続々と出てくるのか? 答えは簡単だ。そうなりそうな人を採用し、そうなるように育てているからである。

 たとえば、私がマッキンゼー日本支社長時代、短期間でハイレベルな人材を揃えるために作った中途採用のルールは「30歳プラスマイナス2歳」、つまり28歳から32歳までの人を集中的に採用した。日本で就業経験が5年ほどあり、アメリカの大学院でMBA(経営学修士)を取得しているというプロフィールの人がマッキンゼーになじみやすいとわかったからである。

 それより年をとった就業経験10年くらいの人を採用すると、日本の会社の他人の顔色を見ながら考える、などの「悪い癖」がついているため、それを直してマッキンゼー化するまでに時間がかかってしまうのだ。

 一方、そうはいっても長期的によその会社から人を盗むようなことばかりやっていてはいけないということで、新規学卒者を採用し始めた。その方法は、まず「サマーリサーチ・プロジェクト」と称して有名大学にポスターを貼り、日給1万円で4年生のアルバイトを募集した。今から30年前の新規学卒者の平均初任給が13万円くらいの時代に1か月30万円だから、いつも応募者が殺到した。

 その中から選んだ学生に1週間ほどマッキンゼー流の問題解決法を教え込み、今でいえば「オリンパスの経営が破綻した理由は何か」「大赤字のソニーを再生するためにはどうすればよいか」というようなリサーチのテーマを1人1個ずつ与える。その結果を私の前でプレゼンテーションしてもらう。そうすると誰が優秀なのか、すぐに見極めがつくから、最終的に10人くらいに絞り込んで採用するわけだ。

※週刊ポスト2012年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン