ライフ

高齢者が好物避けたら要注意 食欲低下で“低栄養”の危険も

「体力を消耗する夏は、十分に栄養を摂って免疫力を高めたいですね」と江頭さん

 夏休み、お盆にふるさとに帰省する人も多いだろう。久しぶりに家族と会って「親もなんだか年をとったな」と感傷に浸っているだけではNG。「元気がない」、「食が細くなった」の裏側には、栄養や水分の不足が潜み、ときに命が危険になることも……。

「高齢者が、噛んでいた食べ物の固い部分を出していたり、今まで好きだった食べ物に興味を無くしている様子があったら、『食べる力』が衰えているサインです。『食べる力』は“噛む力”と“飲み込む力”に支えられているのですが、加齢により、それらが衰えてしまうということがあります。

 食べることは命と直結していますから、ご家族など周囲の人が気をつけて観察し、必要に応じて対策を考えたいですね」そう話すのは、高齢者のケアに詳しいPEACH厚木代表で管理栄養士の江頭文江さんだ。

「1日2食では栄養が不足しがち。3食食べて十分に栄養を摂りたいですね。食が細いときは、間食を入れて4、5食と分割食にしてもよいと思います」(江頭さん)

『食べる力』が弱まると、噛んでも噛んでも食べ物の繊維質が口に残ってしまって吐き出さなければならなかったり、噛むことをおっくうに感じて肉などの固い物はたとえ好物でも避けるようになってしまうというのだ。

「心配なのは、食べる量全体が減ることで起きる低栄養や水分不足です。免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、治りにくくなり、高齢者の場合はそれが生命を脅かすこともあります」(江頭さん)

 成人は一日2~2.5リットルの水分を摂ることが望ましく、そのうち1リットル程度は食事から摂っているといわれている。つまり、食べる量が半分になれば、0.5リットルの水が不足する計算に。気づかぬうちに水分不足が起こっている可能性があり、熱中症や脱水症状のリスクも高まる。

「体力を消耗する夏は、十分に栄養を摂って免疫力を高めたいですね。食品の4群(※)をきちんと摂ることが大切です。どうしても食がすすまない時には、“栄養調整食品”もおすすめです」(江頭さん)

“栄養調整食品”は、小さなパックで高カロリー・高栄養をバランスよく、水分とともに摂取できることが人気。ドラッグストアなどでも販売されている。「年をとって偏食になりがちな親のために」と、購入していく人も増えているという。

■少量で高カロリーな栄養調整食品が活躍

「もともと病院のみに販売していたのですが、栄養調整食品『明治メイバランス Mini』を自宅でも利用したいというご要望が高く、2008年に市販化に踏み切りました」そう話すのは『明治メイバランス』シリーズを販売する明治 栄養食品事業部・飯泉千寿子さん。実は、飯泉さん自身も、母親の食欲低下を心配した経験があるという。

「父が亡くなり一人で暮らし、食事の作り甲斐も失って、簡単な料理だけになり、食が細くなっていたんです。そして『気が滅入って』『だるい』と繰り返すように。心配になって、母に『明治メイバランスMini』を送ったんです」(飯泉さん)

『明治メイバランスMini』には、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維など様々な栄養素が含まれている。飯泉さんの母親も今では、知人にもすすめるほど『明治メイバランスMini』を気に入っているという。

「介護度の高い方から、普段の食事に加えたいという健康な方まで飲んでいただけます。125mlで、しっかり200Kcal摂れること、そして『おいしい』と楽しみに飲んでいただけるように味にこだわりました。介護している方からも『栄養面で気が楽になりました』との声をいただいてます」(飯泉さん)

「食べることが衰えると食べる行為に対し疲労感が出て、ますます食べられなくなるという悪循環になりやすいのです。そんな時に『食べて』と一方的に言うだけでは、ストレスになってしまいます。どうしたら食べられるのか、時に専門家を交えながら一緒に考えていけるといいですね」(江頭さん)

※1日に摂りたい4群の栄養
第1群:卵・乳製品(骨を強くし、体の力をより高める)
第2群:肉・魚・大豆製品(血や肉の元になる)
第3群:野菜・芋・くだもの(体の調子を整える)
第4群:穀類・油脂・砂糖(エネルギーや体温の元に)

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン