九州は、そして鹿児島は、堂々たる焼酎どころである。酒の製造は許認可制であり、国の免許が必要になっている。日本全国の「酒類等製造免許場数の推移」(平成21年国税庁統計年報書)を見てみると、単式蒸留焼酎(昔ながらの製法で造られる、焼酎乙類で、本格焼酎と呼ばれる)の製造免許場の数は379、一つの製造場で複数の酒類の製造免許を有しているものも含めると506になる。
一方で、九州各県の酒造組合のデータをもとに、蔵元の数をカウントしてみると、福岡(76)、長崎(26)、大分(42)、熊本(28)、宮崎(38)、佐賀(30)で240となる。さらに鹿児島だけでなんと104もの蔵元が存在し、その数は九州トータルで344にものぼる。九州にも一部清酒と焼酎の両方を手がける蔵もあるようだが、本格焼酎の蔵元の大半は九州にありというわけだ。
ちなみに九州ではそれぞれの地域の焼酎をブランドとして守るため、ウイスキーのスコッチやブランデーのコニャック、ワインのボルドーと同様に、原産地呼称の認定を受けている。これが世界貿易機構(WTO)加盟国間の国際的な知的所有権の保護規定によるもので、そこで正式に「薩摩焼酎」「壱岐焼酎」「球磨焼酎」「琉球泡盛」が認定されている。
※週刊ポスト2012年8月17・24日号