芸能

あたりまえ体操の歌&作曲家 「元々COWCOWが歌う予定だった」

「あたりまえ体操」の歌&作曲を担当する樋口太陽さん

「右足を出して左足出すと……歩ける~!」など、当たり前すぎる内容にあわせて体操するお笑いコンビCOWCOWの人気ネタ「あたりまえ体操」。今やバラエティー番組以外でも、CMなどでも起用、DVDも売り上げを伸ばしている。このネタを、より面白くしているのが、スローテンポな“当たり前すぎる”音楽と、体操のお兄さんのようなシュールな歌声だ。これを歌い、そして作曲をしているのが、音楽作家の樋口太陽さん(28才)だ。自身もこのブームに驚いているという樋口さんに制作秘話を聞いた。

 * * *
――「あたりまえ体操」が話題になっていますが、制作のきっかけは?
樋口:他にも色々と吉本芸人さんの仕事をしているのですが、いっぱい仕事をする中のひとつとしてきたお話でして。こんなに人気が出るとは夢にも思っていませんでしたね。

――依頼があったのはいつ頃ですか?
樋口:オファーは昨年の震災から間もないころ。余震に震えながら作った記憶がありますね。震災後だったのでこの仕事どうなるんだろうという思いもありました。

――歌詞と曲、どちらが先だったんですか?
樋口:COWCOWさんが歌っているデモが送られてきて。メロディーもはっきりなかったんですが、デモを聞いて、こんなネタなんだなぁと。COWCOWさんの中にはイメージがあったようで、歌詞と、曲のガイドになるアカペラがはいっていたんです。それにしっかりとメロディーをつけたのがあの曲なんです。元々は、曲をぼくが作って、歌はCOWCOWさんが歌う予定だったんです。

――樋口さんが歌うことになったのはなぜ?
樋口:ぼくがあくまでメロディーのガイドとして借り歌を入れたら、それを聞いたおふたりが、ぼくが歌って自分たちは踊るだけの方が面白いということになったみたいです。それに、普通の作曲家や歌手の人だったら、スタジオ押さえて録音エンジニアを押さえてって手間がかかりますけど、ぼくは自宅にスタジオがあるので、歌って編集も自分でできますしね。ほかの人に依頼してたらこんなにスピーディーにできなかったかもしれないです。

――歌うときに心がけていることは?
樋口:毎回、同じ声になるようにしていますね。前回の声音をガイドにして歌って、違和感がないようにしています。

――それは難しいことなんですか?
樋口:慣れるまでは難しかったですね。声って体調とかで日によって変わったりするので。録音してからネタの順番を組み替えたりするので、全部同じ声じゃないと違和感が出ますからね。

――語尾とかメロディーの一部は毎回違いますけど、それはCOWCOWさんとすり合わせをしているんですか?
樋口:そうですね。メールが来たら與志さん(COWCOWの山田與志)に電話して、録音しながら歌うんです。そこで譜割りを決めます。注文があったらその場で変えていって。

――曲のチェックは山田與志さんが担当なんですね?
樋口:そうです。與志さんは楽器演奏もされるので、面白く聞こえるように音楽的にもこだわっています。

――メロディーはピアノひとつで、ラジオ体操的なイメージもありますが、曲を作る際の初めのイメージはありましたか?
樋口:体操といわれて、初めに思ったイメージを曲にしていますね。体操といえばあんな感じかなという。歌い方は歌のお兄さんみたいなイメージです。

――作曲はけっこう苦労しましたか?
樋口:いえ、結構すぐできました。多分数時間ですね。

――あまり苦労はなかったと?
樋口:基本的に苦労はないんですが、オファーが来たときに出先でどうしてもぼくができなくて、兄が影武者をしたことがあるんです(樋口さんの兄は同じ音楽作家)。

――声は似ているんですか?
樋口:結構似てますよ。

――何バージョンの時ですか?
樋口:『ZIP』(日本テレビ系)にCOWCOWさんが出演したことがあって、そのための『当たり前体操』がそれです。何バージョンと名前はついていないので、名づけるならZIPバージョンになると思いますが。兄はぼくの声に似せるのが難しかったと言ってましたね(笑い)。

――ここまでブームになった理由についてはどう思いますか?
樋口:お笑い芸人のネタとして、誰かよく分からない人の声で踊っている形が今までになくって。その斬新さもブームになった要因のひとつだと思います。当たり前の事を考えるって簡単そうに見えて、面白くするのは実は難しくって。そんな練りに練ったCOWCOWさんの「あたりまえ体操」だから受け入れられたんだと思います。

【プロフィール】
樋口太陽。1984年5月25日、福岡県生まれ。2003年に福岡を拠点にA FREETERの名でソロで音楽活動を始める。2010年、上京し本格的に音楽制作を始める。現在はCMやお笑い芸人のネタ中の曲を手掛ける。バラエティー番組『バカソウル』(テレビ東京系)内の楽曲作成なども担当。兄の樋口聖典さんも音楽作家で、お笑いコンビ2700の「右ひじ左ひじ 交互に見て」の楽曲アレンジなどを手掛けている。

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン