そんな姿勢で、のどにも懐にもやさしくおいしい酒を飲む常連客たちが、好んで注文するつまみがある。これがまた、ご当地グルメと呼んでいい逸品ばかり。そのなかでも瀧澤の双璧メニューとだれもが認めるのが、いか刺しと鮭とばだ。
「函館の真いか(スルメイカ)は6月から年内いっぱいが漁期。秋口までは小ぶりで味がいい。腸(わた)から軟骨からすべてうまいんで、1人前として1パイ全部食べてもらってます」(博さん)
もうひとつが、鮭とば。この店の軒先にずらりと鮭が干される風景が10月から翌年の1月まで見られる。そう、これは自家製なのだ。
「鮭は半身にするのが一般的なんですが、うちのは1本丸ごと干して、それを輪切りにしておくんです。注文があると、食べやすい大きさにカットしてどさっと出してます」
函館っ子だという40代のサラリーマンの、大絶賛の弁だ。
「イカ刺しは生姜醤油だね。とばはその辺のスモークサーモンなんか比べものになんないほどうまい。これらを食べてごらんなさい。さっぱりしていて甘くない焼酎ハイボールがすぐに飲みたくなるよ」。