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何回立てても倒れる「倒れ墓」というスポットが存在

 3.11東日本大震災の被災地、宮城県石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。木村さんが、縁ある人々の安否を自身の足で尋ねながら、震災直後から現在の状況までをレポートします。

 * * *
 今回は1本の映画のお話から、始めたいと思います。石巻の映画ですから見てくださいと、いただいた案内には『石巻市立湊小学校避難所』と書いてありました。

 東日本大震災の避難所のひとつ、湊小学校に6か月も滞在してドキュメンタリー映画を撮ったそうで、非常に臨場感溢れる映像に、知っている人もいたりして感激ひとしおでした。

 湊小学校の避難所のことは、同級生もいるので詳しいつもりでしたが、中はこんな大変な状況だったのだと改めて知り、自分はしょっちゅう田舎に帰りながらも、上っ面しか見てなかったなと反省しきりでした。

 この映画、現在全国を巡回して上映中です。機会があったらぜひ見てください。

 というわけで今回の帰省は、まず湊小学校からです。震災後1年半経ちましたが、湊小学校は閉鎖したままです。私は隣の学区の湊第二小学校の卒業生ですが、そちらも閉鎖中。さらに湊中学校も同様です。

 先月『24時間テレビ』(日本テレビ系)で、湊第二小学校の生徒が、千人凧を上げるというので、網地島にいましたが、その人数の少ないこと。ほんと分校程度の数しか生徒がおらず、唖然としました。現在湊第二小学校の生徒数は110人程度。震災前の半分です。

 今後の学校統合を含めて協議中ですが、早く本校で開校しないと、どんどん生徒がいなくなります。

 NHKでは復興予算が被災地に届かない旨の番組をやっていました。何兆円という予算がありながら、鉄筋コンクリートの建物の学校を清掃して、部分開校することもできないんですかね。これでは人がいなくなるのを待ち、残った人たちを集めて学校統合をやるってことですよね。本末転倒のような気がします。

 せっかく湊地区に来たので、地元の人しか知らないミステリースポットを案内します。湊小学校のすぐ隣に慈恩院という古いお寺があり、そこに江戸時代から伝わる「倒れ墓」があります。

 このお墓、何回立てても倒れてしまう墓で、しまいには倒れたままで放置です。今じゃ墓を動かすと呪われると、まことしやかに囁かれていますが、大丈夫。墓石がでかくて、ひとりじゃ動かせませんから。

 それではこの墓石の主は誰でしょうか? 江戸時代に湊地区の領主だった笹町家当主のお墓だそうです。なんで倒れたかは、因縁めいた話が伝わっています。

 戦国武将、片桐且元の孫といわれている徳のあるお坊さん、栄存法印が湊地区を訪れ、法力で治水したりと大評判になったそうです。それを妬んだ笹町家が栄存法印に無実の罪を着せて隣町の女川町の江島へ流してしまった。

 栄存法印は、笹町家と湊地区を呪ってやると言い、頭を逆さまにして埋めろと遺言を残して憤死したそうです。

 それから湊地区には、謎の大火事が何回か起こり、笹町家は呪われて、一族が途絶えたそうです。映画『TRICK』や『八つ墓村』とかに出てきそうなお話が、本当にあるというのも、石巻ならではでないでしょうか。このお墓を見るときは、ちゃんと拝んでから見てくださいね。

 震災から1年半が経ち、復興の話が沢山聞こえるのですが、どうも進捗状況が遅い気がして心配しています。

※女性セブン2012年10月18日号

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