国内

250億円の“遺産分配”を画策する民主党の「円満分党構想」

 衆院単独過半数割れに向けたカウントダウンが止まらない野田民主党は3つの恐怖に支配されている。野田首相は不信任案可決に、輿石執行部は集団離党に、議員たちは解散・総選挙にビクビクしている。

 そんな民主党内でひそかに浮上しているのが、「円満分党構想」だ。

「野田首相は10月中にもまとめる次期衆院選のマニフェストに消費増税を盛り込む。消費増税造反組はイエスとはいえないから議論が紛糾し、いよいよ亀裂が深まる。年末にかけて新党結成の動きが出るのは避けられない。政策が水と油だからどうしようもないが、解散・総選挙が嫌なのは執行部も反主流派も同じだ。

 そこで、ケンカ別れではなく、新党組は野党の不信任案に同調せず通常国会で予算案に賛成するという条件で、正式な分党手続きをとって円満離婚する。そうすれば野田政権は来年3月の予算成立まで政権を延命する見通しが立つし、選挙も先送りされる」(民主党反主流派議員)

 この構想は代表選で野田首相の対立候補だった原口一博・元総務相周辺でアイデアが練られ、「分裂が避けられない場合の最後の手段として、執行部側にも伝えられて検討されている」(同前)という。

 そんな“綱渡り”を可能にするのは、民主党の金庫にうなっている豊富な資金の存在だ。同党には今年1月時点で約180億円の繰り越し金があり、今年分の政党助成金を合わせると、支部交付金などを配ってもなお約250億円の貯金が残る計画だ。

 分党の場合は資金を議員数に応じて配分するため、仮に反主流派が20人規模で新党を結成すれば約16億円、30人規模なら約24億円の“手切れ金”が入る。

 民主党執行部にとっても悪い話ではない。いざ分党が議論になれば、離党予備軍も選挙資金が欲しいから結論が出るまで軽々に離党はしにくくなる。

「離党者にカネをやるなど感情的には論外だが、今の状態では野党から不信任案が出されたときに党内の造反を防ぐために全議員に活動費を配ってつなぎ止める必要がある。それを考えれば手切れ金で不信任案に反対してくれるなら安くつくという見方もできる。新党についていく人数次第では十分考えられる」(民主党本部関係者)

 つまりは造反組を野党の不信任案に同調しないように買収する“国会対策費”ということになる。

 分党構想の当事者と見られている原口氏は、事務所を通じて「離党も分党も検討していない」と回答したが、原口氏は橋下徹・大阪市長と会談したり、小沢鋭仁氏ら反主流派の有力議員や新党改革の舛添要一・代表らと超党派の「統治機構研究会」を結成して会合を重ねるなど、政界再編を睨んだ動きを活発化させている。

 国民から見放された政権の延命をカネで取引するとは浅ましい限りだが、果たして民主党の「遺産分配」はすんなりまとまるかどうか。

※週刊ポスト2012年10月26日号

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン