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広島小5女児虐待死の鬼母と祖母 虐待を「体罰必要」と説明

 10月1日、広島県府中町の自宅で無職の堀内亜里容疑者(28才、傷害致死容疑)が小学5年生の長女・唯真ちゃん(11才)を死亡させる虐待事件が発生した。練習用のゴルフクラブで、幼い娘を30分以上にわたって殴打する残忍さだった。

 亜里容疑者は高校に入学してからわずか3か月で退学。実家を出て、東広島市内のアパートでひとり暮らしを始めることになる。このアパートは、当時彼女の“パトロン”だった50才くらいの中年男性が自分の名義で借りたもので、家賃は全額彼が負担していたという。

 1999年から1年ほど住んだこのアパート時代に、亜里容疑者は唯真ちゃんを身ごもった。当時17才。唯真ちゃんの父親と思われる男性と結婚したが、3か月で離婚。同じころにケンカ別れしたパトロンにはアパートを解約され、亜里容疑者は渋々実家に帰った。

 2001年7月、唯真ちゃんを出産。子育ての問題に対応する公的な相談窓口「広島県西部こども家庭センター」と協議の末、唯真ちゃんは「養育困難」との理由で、生後5か月で乳児院に送られることとなる。同センターを管轄する広島県の子ども家庭課児童グループ担当者が説明する。

「母親が若くて育児経験が乏しく、経済的な問題がある場合、『養育困難』とみなして子供を施設が保護します。このケースについて詳細な資料は残っていませんが、経済的な問題に加えて、祖母からのサポートが得られなかったためと推測されます」

 亜里容疑者は再び実家を離れ、広島市内でひとり暮らしを始める。だが、仕事は長続きせず、キャバクラやスナックなど水商売を転々とした。当時のホステス仲間が証言する。

「彼女は市内の繁華街にあるスナックで働いていましたが、仕事を始めて1週間で無断欠勤して音信不通になりました。働いていた時は『子供がいるけど、元夫が引き取った。本当は育てたいんだけど』と話していました」

 亜里容疑者は唯真ちゃんが4才になった2006年3月、家庭センターに「子供と暮らしたい」と願い出る。センター側は「祖母が子育てを支援する」ことを条件にこれを受け入れ、唯真ちゃんは母の亜里容疑者と祖母の3人で共に暮らし始めた。

 しかし、それこそが悲劇の始まりだった。生活能力のない亜里容疑者に育児は荷が重すぎたのだろう。子育てが思うにままならず、「しつけ」という虐待が始まった。

 同居3年目の2009年2月、近所住民から虐待を疑う一報が東広島市に入った。唯真ちゃんの通う小学校からも「顔にアザがある」と通報があり、保護。目の周りが黒ずむほどのアザだった。

「唯真ちゃん本人が『お母さんに顔を殴られ、蹴られた。お婆ちゃんにほうきで叩かれた』と証言したので一時保護しました。母と祖母を呼び出し、体罰をやめるよう指導しましたが、2人とも『しつけに体罰は必要だ』という意見でした」(前出・県子ども家庭課児童グループ担当者)

 亜里容疑者だけでなく、祖母まで虐待に加わっていたのだ。祖母は事件後のテレビの取材に、亜里容疑者の虐待についてこう話していた。

「娘には、グーはやめて、せめて平手にしてねと言った」

※女性セブン2012年11月1日号

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