男の悩みといえば薄毛。最近では数多くある育毛剤が発売されているが、その大半が、実は医学的根拠が不十分であるという。
科学的根拠に基づいた有効な治療法を促進するため、日本皮膚科学会は『男性型脱毛症診療ガイドライン』を公表している。
その中で、男性型脱毛症(以下AGA)に「強く勧められる」推奨度Aの治療薬は、実は「フィナステリド(商品名・プロペシア)」と「ミノキシジル(商品名・リアップ)」の2つしかない。
年間3000人以上の薄毛に悩む患者が訪れる東京メモリアルクリニック・平山の佐藤明男院長はそれぞれの薬の効果についてこう解説する。
「同じ推奨度A群であっても、薬効が異なります。フィナステリドは、偽薬と本物の薬を飲ませる二重盲検法という試験の結果、98%の方に進行抑制効果があり、78%の方に改善がみられました」
1本の髪の毛が6~7年かけて太く長く成長して生え変わっていく毛周期が短くなるのが男性型脱毛症だ。フィナステリドは、毛周期を短くさせる物質・ジヒドロテストステロン(DHT)を抑える効果があり、佐藤院長の治療経験上も、大半のAGA患者に有効だという。
「使用方法は1日1錠決まった時間に飲むだけです。非常に副作用が少なく、服用の際は空腹時や満腹時の制限がなく、飲み合わせの悪い薬や食べ物もない」
医師の診断を受け、処方箋をもらえば入手可能で、月の費用は診療費を含め1万円前後。それに対し、もう一つのミノキシジルにはDHT抑制効果はない。
「ミノキシジルは髪の成長期を促進する薬。要するに髪の毛を太く長くするのを助けてあげる薬です」
ドラッグストアで薬剤師の説明を受けて買うことができ、使用方法は1日2回頭皮に塗るだけ。
併用し治療にあたるケースもあるが、佐藤院長は、まずはフィナステリドの服用を勧めている。
※週刊ポスト2012年11月2日号