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多忙の金子哲雄氏 依頼には「次のインプットになる」と快諾

 10月3日に急逝した流通ジャーナリストの金子哲雄さん。分かりやすい解説で雑誌やテレビで大人気だったが、いつも全力投球の人だった。本誌・女性セブン記者が「忙しいのにこんなことまでお願いしても大丈夫ですか」と聞くと「ぼくはこういう取材がまた次の企画のためのインプットになるからありがたいんです」とニコニコ答えてくれていた。

 金子さんと本誌の出合いは2007年3月。ある女性タレントの取材の際に、マネジャーから「御紹介したい人物がいるのですが」と言われたのがきっかけだった。

 人懐っこい風貌とあの独特の口調で、立板に水のごとく「人気のものは…」「これからはこれがきますよ…」と話す内容は実におもしろく、早速スーパーで賢く買い物をする記事をお願いした。金子さんの最初のマスコミ登場になったこの記事は、読者アンケートで1位となる。

 金子さんはその記事が掲載された『女性セブン』を数十冊購入し、自分の記事に付箋を付けてテレビ各局の喫煙室に置いて回ったという。効果はてきめんで記事を見たテレビ局から連絡があり、同じ内容で番組を作りたいとオファーがきたのだ。その後の活躍は周知の通り。

 義理堅い金子さんは、「ぼくがこんなに仕事をもらえるようになったきっかけは『女性セブン』さんですから」と言って、忙しいスケジュールをやりくりして本誌の誌面にたびたび登場してくれたのだった。

 現場主義の金子さんはたえずスーパーに足を運んでいた。たまに休んでプライベートで奥様と海外旅行に出かけたとしても、行く先は現地のスーパーだったという。1店舗1時間以上。朝、昼、夜と時間を変えたり、平日、週末と日を変えたり何度も通う。隠れて写真を撮ろうとしたのを見つかって怒られた話をしてくれたこともある。

 本誌の企画でもさまざまな現場取材を行った。金子さんの読者のお宅に行ってみたいという希望から始まった『なぜかお金の貯まる人の習慣』の記事では、読者宅の冷蔵庫にストックされている商品まで丹念に見ていた。出張先からスーツを片手に駆けつけてくださったのに、場所がなくてスーパーの駐車場に止めたカメラマンの車の中で着替えてもらったことも懐かしく思い出される。

 金子さん、本当にありがとうございました。

※女性セブン2012年11月8日号

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