国内

「超売り手市場」な優秀看護師 病院間で引き抜き合戦勃発中

 いま、病院は慢性的な看護師不足に悩まされている。なかには看護師不足が原因で、病棟閉鎖や病床削減に追い込まれている病院もあるほどだ。

 そんななか、優秀な看護師は「超売り手市場」となり、病院間で引き抜き合戦が起きている。実際に良い看護師がいるかどうかは、患者の寿命を伸ばしも縮めもする重要な要素なのだ。

 50代の会社員・A氏は肺がんで地元のがんセンターに入院。手術後、薬物治療を受けていたある日、突然の腹痛に襲われた。

「若い担当医師が『副作用にしてはおかしいなぁ』と首をひねっていると、横にいたベテラン看護師が私のお腹を触り、『先生、副作用ではなく何か合併症の疑いがあるのでは。腹部以外のレントゲンを撮った方がいいかもしれません』と進言。看護師のいうとおりにすぐに処置をとってくれ、なんとか事なきを得ました。あの看護師さんがいなかったら、今頃どうなっていたか」(A氏)

 現役看護師で作家の宮子あずさ氏によれば、医療現場ではこうしたケースはよくあることだという。

「専門医は専門外のことを意外に知りません。いろいろな科を渡り歩いてきたベテラン看護師の方が幅広い知識を持っていることが多いのは事実です。患者さんのちょっとした変化を見て、担当医の専門とは別の病気に気づくのも、看護師の大事な役割なんです」

 心臓外科の名医で、『ナースの常識!?医者の非常識!?』などの著書がある東京ハートセンターのセンター長・南淵明宏氏も、実際に看護師に助けられた経験を口にする。

「弁膜症の高齢の入院患者さんが突然、不整脈の発作を起こし、血圧が低下しました。私は血圧を上げるために昇圧剤を投与しようとして、間違えて降圧剤を投与してしまったんです。すぐに昇圧剤を投与して結果的には何事もなかったのですが、この時、焦っていた私と不安になっていた患者さんを救ってくれたのが担当のベテランナースでした。

 落ち着いて『いま、とっても良い薬を使いましたから、すぐ良くなりますよ』とやさしく声をかけると、患者さんは安心し、容態も安定しました。このナースはどんな言葉をかけたら患者さんに良い影響があるのかをわかっているんです」

※週刊ポスト2012年11月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン