スポーツ

7人制ラグビー 次期五輪正式競技化で競技人口増える可能性

 2019年、日本でラグビーのW杯が開催される。このW杯を成功させるためには何が必要か。その鍵となるのは7人制ラグビー「セブンズ」だと語るのは、ラグビー批評家の中尾亘孝氏である。氏が、「セブンズ」の概要と魅力について語った。

 * * *
 私がいま注目しているのは、「セブンズ」といわれる7人制ラグビーである。2009年の五輪委員会総会で、2016年のリオデジャネイロ五輪から正式種目に採用されることが決定し、すでに男女の日本代表の2013年W杯セブンズへの出場も決まっている。まずはこの7人制ラグビーで対外的にアピールし、15人制の日本代表の底上げに繋げるべきだ。

 7人制ラグビーは15人制と同じサイズのグラウンドで、ほぼ同じルールによって試合が行なわれる。15人で守るところを7人で守るため、フィジカルの強さよりボールを持って最後まで走り続ける持久力とスピードが求められる。もちろんクラッシュもあり、そこには15人制ラグビーと共通した迫力もある。

 こうしたセブンズでの経験は、15人制に活かせることが多い。メリットは外国人選手を相手に1対1の経験を積めること、スペース感覚がつくこと、そして前述した持久力やスピードが向上することだ。

 昨今、15人制ラグビーではアルゼンチンやウェールズの若手の成長が著しいが、フィジカルの強さ以外のスピードやスペース感覚はセブンズで培ったものだ(2009年W杯セブンズのファイナリストがアルゼンチンとウェールズだったことが証明している)。

 とにかくセブンズで勝つことに集中していれば、その成果が15人制に還元されることだけは間違いない。7人制と15人制のシーズンが重なっているため、この間にセブンズに特化する選手と、2015年W杯出場選手を選別することになるが、両方に出場する選手が出てくることが日本代表の底上げとなる。セブンズで関心を集めれば、ラグビーファンの開拓にも繋がる。

 15人制が80分(40分ハーフ)なのに対し、7人制は14分(7分ハーフ)と15人制に比べて短時間で大会が開催できる。五輪競技になった理由のひとつでもあるが、少ない人数で試合時間も短いということで競技人口が増える可能性を秘めている。

 各地には徐々にセブンズ専属の女子チームが増えつつあり、世界で活躍できる可能性が高い女子のセブンズにはサッカーの“なでしこジャパン”のような期待もできる。

 2016年のリオデジャネイロ五輪でのセブンズの活躍。これが2019年に日本で開催されるW杯ラグビーでの観客動員ブレイクのカギとなるのは間違いない。

※週刊ポスト2012年12月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン