ビジネス

相続税増税の前に始めたい毎年110万円以下の「暦年贈与」

 相続税の増税が既定路線となっている。法改正がなされれば、これまで無縁と思っていた庶民にも、重い負担がのしかかってくる。この増税への効果的な対策が「生前贈与」だ。子や孫にできるだけ多くの財産を渡すために、今、何をすればいいのか。そのテクニックのひとつとして、贈与税がかからない110万円以下で毎年コツコツ「暦年贈与」する方法を紹介しよう。

 贈与税は、ある個人が1月1日から12月31日までの1年間にもらい受けた財産の合計にかかる税金だ。ただし、年間110万円までであれば、贈与税はかからない。この制度を利用する贈与を暦年贈与という。

 しかも、法定相続人に限らず、誰にでも年間110万円以内であれば非課税で財産をわたすことができる。したがって、子はもとより、子の配偶者や孫など多くの人に配れば、財産額を減らすことができて、大きな節税効果がある。

 たとえば、現在70歳のAさんは子とその妻、孫にも妻がいるという家族構成だ。この家族4人に毎年110万円ずつわたすとすると、年間440万円。これを10年続ければ、4400万円分の財産を減らせることになる。もともとの財産額が1億円ならば、この暦年贈与により、Aさんが亡くなった際には相続税がかからなくなる(現行の制度の場合)。少額の贈与であるが、コツコツと長期間繰り返すことで効果がでるので、いますぐにでも始めたい方法だ。

 ただし、体調が悪くなったからといって慌てて生前贈与を始めてもだめなので注意してほしい。相続人への贈与は、被相続人が亡くなった相続発生時点から3年前までさかのぼって、相続財産として計算されてしまう。結果、相続財産が基礎控除額を下回ったと喜んだのに、実際には相続税がかかってぬか喜びに終わるケースも多い。

 そのような事態を避けたいなら、相続権のない子の配偶者や孫へわたしておけばいい。そうすれば、相続発生直前であっても相続税の加算対象にならない。特に、一代飛ばしとなる孫への贈与は、その親から孫への相続時にも対象外となるので効果が大きい。

※週刊ポスト2012年11月30日号

関連キーワード

トピックス

元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン